「しばらく前からずっと、背中が痛いんです」
68歳の男性は、
総合病院の内科から紹介され、
心療内科を受診されました。
半年ほど前のこと、
長引く背中の痛みに耐えかね、
自宅近くの総合病院を、受診されたそうです。
いろいろ検査した結果、
主治医から伝えられたのは、
「どこにも異常はない」
という言葉でした。
どこも悪くはないとわかったものの、
背中の痛みは変わりません。
そのうち、痛みで眠れなくなり、
再び、主治医を訪ねます。
すると、今度は、
心療内科を紹介されたのです。
こうして、心療内科を受診したものの、
「この痛みは、気の持ちようなんかではない気がする」
と話されます。
相談のうえ、
少し離れた隣町の病院を受診し、
もう一度検査していただきましょう、
ということになりました。
再び、いろいろな検査をした後、
新しい主治医から告げられた病名は、
胆のうがんでした。
それも、
進行した胆のうがんで、
肝臓に浸潤していることもわかりました。
このようなことは、あってはならないことですが…。
心療内科研修中、
「他院からの紹介患者さんであっても、
まだ見つかっていない、隠れた病気があるかもしれないからね、
そういう病気を見逃さないように、注意しなければいけないよ」
と、よく言われました。
心療内科に紹介されますと、
「検査は前医ですべて終わっていて、
異常はなかった、
もしくはこのような診断にいたったので、
今後は心療内科的な治療をお願いします」
という目的で、来院されたのだと考えがちです。
けれども、なんだか気になるので、
今一度、検査をしてみますと、
重大な病気が見つかることがあるのです。
「なんだかおかしい気がする…」
このような、何となく感じる緊迫感は、
医療の現場でも、大切だったりします。
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
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