「肩こりがひどいんです」
そう言われる方は多いです。
「首や肩を回したり、ストレッチもやってますよ。
でも全然よくならないんですけど、どうしたらいいですか?」
そのような、たくさんの肩こりさんのお話を聞いていて、
肩こりは、肩と首だけの問題ではないのでは、と感じています。
肩の筋肉がこわばると、その周囲の筋肉、腱や筋膜にも影響するでしょう。
すると、その影響はさらにその近隣の筋肉、腱や筋膜へと広がり、
関節や骨格にも何かしらの変化があるかもしれませんし、
まわりまわって反対側の筋肉、筋膜にも影響が及ぶかもしれません。
肩こりとは、肩と首だけ動かしたり、伸ばしたりして解決する問題ではなく、
体全体を動かしたり、伸ばしたりする必要があるのでは?
そう感じるようになりました。
そうだとすると、何をどうしたらいいんでしょう?
そのヒントになるようなお話をお聞きしました。
5年ほど前から、毎年、体重が1-2kgずつ増え続けていて、
危機感を感じているという、52歳の女性の方です。
「ウォーキングもしてるけど、それでも体重は増え続けていて、
どうしたらいいのか、わからなくなってきてしまって…。
もうこれは更年期だからどうしようもないって、あきらめるべきなのかな、とも思ったり…。
体重と一緒に、コレステロール、中性脂肪も少しずつ上がってきているのも、気にはなっていたんです。
それが、今年、とうとう基準値を上回ってしまって…。
本当にこれはまずいことになったと思って、
思い切って、フィットネスクラブに入会したんです!」
「入会したものの、何をどうすればいいのかわからないので、
トレーナーさんについてもらって、教えてもらうことにしました」
「トレーナーさんに言われるがまま、ストレッチをして、
教えられるがまま、3種類の筋トレをして、
その後、すすめられたので、なんとなくランニングマシーンに乗って、
20分間ほどゆっくり走って、終了しました。
すべてやって、50分程度です。
それ以来、少しストレッチ、少し筋トレ、少しスロージョギングを1/週のペースで続けました」
「始めたころは、運動後の疲労感が著しかったのですが、
慣れてくると、フィットネスクラブに行った方が体調がいいということがわかってきました。
それで、1/週を2/週に増やしたのですが、体が軽くなったように思います。」
さらに、いいことがあったそうです。
「以前は、頭痛や吐き気もするほど、ひどい肩こりだったんですけど、
そういえば、肩こりで悩むことはなくなったなぁって気が付いて…。
それに腰痛も軽くなりましたし、疲れにくくなったように思います。」
思いがけないうれしい変化に喜んでいるそうです。
「ほんのちょっと体を動かしているだけなのに、こんなに体って変わるものなんだぁって思って。
1時間ウォーキングするよりも、20分間スロージョギングの方が体調がいいのにもびっくりしました。
歩くだけじゃだめだったんですね」
肩こりだから、首や肩だけ動かすのではなく、
腰痛だから、腰や仙腸関節だけの問題ではなく、
全身の有酸素運動と筋トレとストレッチ、
この三つは必要不可欠なのかもしれません。
ちなみに、彼女の筋トレの内容は、
背筋(広背筋)と大腿前部(大腿四頭筋)、大腿後部(ハムストリング)の3種類なのだそうです。
肩こり、腰痛の原因として、
デスクワークなど、長時間にわたって同じ姿勢を保つことがあげられています。
こうして起こった首、肩、腰の血流悪化を、適度な有酸素運動により改善し、
筋トレとストレッチにより、筋肉量の低下を防ぎ、筋肉を柔軟にすることで、
肩こり、腰痛を起こしにくい身体つくりができていたのかもしれません。
もちろん、肩こり、腰痛の痛みがひどかったり、
可動域が著しく制限されているような場合は、
整形外科を受診してご相談ください。
※今回の筋トレ内容についてはこちら、
スロージョギングについてはこちらでも解説しています。
毎日歩いているけど、何も変わらない
運動する人はテロメアが長い
「職業としての小説家」に見る運動習慣
も参考にしてください。
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
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