35歳の専業主婦の方がお見えです。
物静かな印象の、おとなしそうな方です。
小さな声で話してくださいました。
「一戸建て住宅を購入して、
今、夫の両親と同居しています。
家を買うとき、お金を出してもらったわけでもないし、
食費など一円ももらってないけど、
当然のように、三食作って、掃除も洗濯もしています」
「別にいいんです…。
料理も掃除も嫌いじゃないし…。
でも、なんだかね…、
どうなんだろうって、思うことがあるんです」
ほっそりした、きれいな方なのですが、
話し始めると、だんだん、なげやりな口調になってきました。
「それだけじゃなくて、
お母さんがお友達と会うときは、
私が手作りのお菓子を焼いて持たせてあげるんです」
(えっ!?なぜ?)
私はちょっと驚きました。
「おかあさんが、お友達が喜ぶから作って、っていうんです。
お菓子つくるのもきらいじゃないからいいんですけど…、
なぜ?って思います」
(そうですよね)
「それに、お父さんは、時々、友達と飲みに行くんですけど、
終わったら「迎えに来て」って電話してくるんです。
いいんですけどね…、なぜ、わたし?って、思うんですよね。
バスあるやろ…ってね、思うんです」
(そうですね)
ご主人にはそういうこと話したりされるんですか?
「話します。
主人は、嫌だったら、ことわったらいいっていうんです。
ただね、今、主人は単身赴任中なので、
その場ですぐに相談ってわけにいかなくて…」
えっー!それじゃ、義理のご両親と三人なんですか?
「はい、義理の両親と子どもと四人です」
うーん、大変ですね。
話を聞いていて、頭が下がります。
こんなによくやってくれるお嫁さんは、
なかなか、いないのではないでしょうか?
どうやって、今までうまくやってこれたのでしょうか?
もう少し詳しく話をお聞きしましょう。
次回に続きます。
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
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