不安神経症の方にバッチフラワーレメディとホメオパシーを用いた経過を紹介しています。
今回は、前回の続きです。
7回目再診:母は毒親だと思います
「私、ストレスがあるとすぐ下痢するんです。
以前は下痢すると「トイレに間に合わないぃー!」ってなって大変だったんですけど、今はそんなにあせることはなくなりました。
いつも、なにかあっても大丈夫なように、かばんに下着とかも入れていて、以前は着替えたりすることもあったんです。
今でも、持ち歩いていますけど、全く使わなくなりました。
それに、考え方も変わりました。
以前は、「失禁したらどうしよう」って心配していたんですけど、今は、「失禁してもいいじゃないか、下着も持ち歩いているんだし、着替えればいいだけだ」って思うようになって、すごく楽になりました。
以前はずーと思い悩むことが続いたんですけど、今はそういうことはなくなりました。
以前はよく、バッチを飲まなければいけないってちょっと強迫的になっていたんですが、今はそういうことはなくて、忘れることもあります」
「私、ちょっと思い出したことがあって…、ずっと忘れていて…、思い出さないようにしてたってこともあるかもしれないんですけど…」
「私が子供のころ、両親がいつもひどい喧嘩をしていたんですよ。
私達姉妹が成人して、両親は離婚し、その後、母は音信不通になっていたんです。
ところが遺産目当てかなにかじゃないかと思うんですけど、妹を養子にしたんです。
そしたら、その妹ががんで亡くなったんです。
妹が亡くなったら、今度は、夫、つまり私の父ですね、が死亡して、そしたら、今度は私にすりよってきたんですよ。
私、母は毒親だと思います。
子供の時から変な人だなぁと思っていました。
いつ怒り出すかわからないんです。
姉と妹は母にもろにぶつかっていて、大変な目に合っていたんですけど、私は怒られないように上手に対応していました。
いつかこの家を出て、自分の温かい家庭を作るんだと、ずっと思ってました。
私が結婚したとき、母は「勝手に結婚して!」って罵りました。
私は知らなかったのですが、母は主人の会社に誹謗中傷の電話を入れるなどして、様々な嫌がらせをしていたらしいです。
母が亡くなった時、主人からそのことを聞きました。
ただただ、主人には申し訳ないと思っています。
母は晩年一人暮らしだったのですが、だれも関わりをもとうとしなくて…、誰が面倒をみるのだろうと、みんなが戦々恐々としていたら、孤独死していました。
介護を心配する必要はなかったんです」
私は佳子さんに尋ねました。
「母のことで大変な子供時代だったので、何かあると不安になったり、大変なことにならないよう段取りしたりされる、ということはないでしょうか?」
すると、母のことに触れたくない、自分の症状と母とを結び付けたくない、というような表情になりました。
母親からひどい目にあわされたと怒りを感じているならホメオパシーのstaphysagriaを考えます。
怒りではなく、悲しみを感じているならNat Murかもしれません。
Ars alb以外にも、レメディの可能性をいろいろ考えていたことを伝えますと、
「ホメオパシー、最近飲むのを忘れていました」
「ホメオパシーはいやなわけではないんです。
また飲みます。
Ars albは自宅にまだあると思うので、また飲んでみます」
と言われます。
「以前のような焦る夢、悪夢は見なくなりました。
でも、いろいろな夢を見ます。
カラフルなリアルな夢です。
夢を見るってことは、熟睡できていないということだから、夢をみないようになりたいです」
「夢は見ないほうがいい」ということはありません。
夢は一日のできごとを整理する大切な作業です。
夢日記をつけることを提案しました。
8回目再診:夢は見ていいのです
「孫のアレルギーの結果が悪くてショックを受けています。
かわいそうで、落ち着きません。
不安でドキドキして、とてもしんどいです。
娘はダニ対策もしておらず「自分がちゃんとしてあげなかったからこんなことになって反省している」と言ってます」
「前回、先生から「夢は見ていい」と聞いて安心しました。
それで、夢日記をつけようとせっかくノートを用意したのに、書こうとしたら、夢を覚えていなくて、日記をつけられませんでした」
「頭痛、下痢も減りました。
冷え症も軽くなったと思います。
いつもこの時期から、すごく冷えで辛くなるんですけど、今年は大丈夫そうです。
ホメオパシーの効果でしょうか?」
Ars albは冷えのレメディでもあります。
ホメオパシーがあっていて、冷えが改善するということはあると思います。
9回目再診:#Me Too
「二番目の孫が生まれました。
それが心臓の病気が見つかって、手術が必要だということがわかったんです」
「先日、私の誕生日で、主人と食事に出かけたんですよ。
でも、下の孫は心臓の病気だし、上の孫は食物アレルギーで食べられませんよね。
私一人楽しんでいいのだろうか?という気持ちになりました」
以前は、不安なことがあると、そのことばかり思い出してしまい、胸が苦しくなり、うつになっていたのですが、最近はそのようなことはなくなったと言われます。
「わたしはなんでも普通でいいと思っています。
何億もかせぐスポーツ選手とか、すごく勉強のよくできる子がいいとかではなくて、本当に普通でいいと思っているんです。
でも、孫はアレルギーがあったり、心臓の病気だったり…って言ったら、主人は「普通って何? 人それぞれの普通があっていい」と言われました。
私はいつも周りがこうあってほしくて、自分の思い通りに完璧でないと不安になるんです」
自分の周りが、自分の思うような状態でないと不安になるのが、Ars albの人なんですよと話しますと、
「あっ、そういえば、ホメオパシー、飲み忘れてました。
そういうことならまた飲んでみます」
「実は、ずっと忘れていたことを思い出したんです。
誰にも話したことのないことなんですけど…、先生に、はじめて話します」
「最近、#Me Tooで多くの女性が性被害を告白していますよね。
私、ずっと忘れていたんですが、自分も幼少時、性被害にあったことを思い出しました。
小6のとき、習い事の先生でした。
もっと幼いときにもあって、当時、高校生だった親戚でした。
何か変だなと思っていたのですが、大人になってそれが性被害だったとわかったんです」
性被害にあわれたこと、また、そのことを思い出されたことから、ホメオパシーのStaphysagriaを処方しました。
そして、いつものように、バッチフラワーも選びました。
10回目再診:Staphysagriaは劇的に効果ありました
「前回、性被害のことを話した後、フラッシュバックしていろいろ思い出してしまいました。
それで、帰宅してすぐにStaphysagriaを飲みました。
飲んですぐに効果ありました。
Staphysagriaはとてもよかったです。
劇的に効果ありました。
孫の心臓手術のことが気がかりだったのもあって、孫のことに気持ちが向いていたのもあったと思いますけど、性被害のことは思い出さなくなりました。
もう気にしなくていい、考えなくていいという気持ちになりました。
孫が手術したんです。
あんなにちっちゃいのに、管がいっぱいついているのを見ると、本当に胸が痛いです。
入院中は、娘宅に手伝いに行かなくてよくなって、ホッとしたら偏頭痛になりました。
やっぱり夜中に目が覚めます。
眠れなくて、明け方夢を見ます。
以前は、下痢したらもうどーしよーってドキドキして、心臓が口から出そうなくらいでしたけど、今は、下着が汚れたら変えればいいと思ってます。
肛門科では、肛門のしまりは悪いが、手術するほどではないと言われているんですよね」
11回目から13回目の再診:歯が痛いけど異常はない
11回目再診
「やはりトイレ不安あって気持ちが沈みます。
また、以前みたいに、同じ歯ですよね、痛くなって歯科受診したんですけど、異常なしといわれて、でも痛いんです。
バッチのレスキューをいっぱい使ってだいぶ軽くなりました。
不安があってもそのことにとらわれないようになったと思います。
以前は、歯が痛くて、そのことにずっととらわれて、うつになっていました」
12回目再診
「以前、歯痛が続いてうつになった時、抜く必要はないけど痛みを取るため神経を抜いてもらったんです。
今回、また、歯痛続きいろいろ歯科受診しているんですけど、どこに行っても異常ないと言われ、また、以前みたいにうつになりそうで不安です」
歯痛のホメオパシーがほしいと言われましたので、Staphysagriaを勧めました。
毎晩寝る前に、Ars albを用い、歯痛のときに、Staphysagriaを使うようにしていただきました。
13回目再診
Staphysagriaを飲んだら、歯痛おさまりました。
今ここに生きる
佳子さんの不安は、どんな場面からも、次々と生まれてきます。
そして、その不安は、身体症状にも現れ、様々な症状はよくなったり悪くなったりを繰り返しています。
その不安のもとはなんなのか、そのおおもとに気づくことが、症状軽快のカギになると思います。
ずっと話をお聞きするうち、バッチフラワーやホメオパシーの助けもあって、今回、母親の重要な話がありました。
またそのころ、ちょうどタイミングよくというか、悪くというか、#Me Tooの高まりもあり、ずっと忘れていた性被害を思い出されます。
このようなつらい経験を聞いていますと、様々な出来事を不安に感じてしまうのも当然のことかもしれないと思えます。
また、そのようなつらい経験を経て、どうやってここまでたどりつかれたのか、そのことが奇跡のように感じられます。
佳子さんの言われる毒親のもとで、ひどい経験をされながら、「私は自分の暖かい家庭をもつ」と決心され、本当に素敵なご主人と暖かな家庭を築かれ、お子さんはそれぞれの家庭を持ち、お孫さんもうまれました。
佳子さんの決心は現実のものとなり、着実に未来へとつながっています。
これは奇跡のように、すばらしいことです。
佳子さんは、「ほんとうにその通りで、自分は今、とても幸せです」と言われます。
幸せだけど不安でならないのです。
不安を感じていて、本当に「今ここの幸せ」に生きることができないでいます。
「今ここ」に生きられないので、不安を感じるということもあるでしょう。
不安はだれでもありますし、あってもいいのです。
不安はあっても、
「今ここに生きる」
これが重要です。
その後の経過もご紹介していきます。
※今回の症例の経過は以下のブログにまとめています。
参考になさってください。
毎日、悪夢を見る
#Me Too
「こうあるべき」を手放す
不安神経症の栄養療法
幼少期の性被害
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
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