「母親に見捨てられた」記憶が気になり、本当は何があったのかを知りたいと、幼少時退行催眠療法を希望された方のお話をご紹介します。
母親に見捨てられる不安に襲われた幼少期
「最近、無性に、母親にむかつくんです」
こう言って、催眠療法を予約されたのは、56歳の男性です。
幼いころ、「母親が家を出て行った」という記憶があるそうです。
そのためなのか、子供のころからずっと、「母親に見捨てられる」という気持ちにたびたび襲われていました。
学校に行っても不安でたまりません。
「家を空けている間に、母親がどこかに行ってしまうのではないか」
気が気ではありませんでした。
学校から帰るとすぐに、母親を探します。
家にいるのを確認すると、いつも、ほっとするのでした。
どうして、こんなに不安でしかたないのか?
小さいころ、何があったのか?
真相を知りたいと、幼少時退行催眠療法を希望されました。
母親に見捨てられた記憶の真実とは?
催眠療法のセッションを始めるとすぐに、
「幼い男の子が家の中で泣いている」と彼は答えました。
男の子は幼いころの彼だと言います。
3-4歳くらいかなと付け加えました。
何があったのですか?
「家にお母さんがいないのです」
夜になって、お父さんが帰ってきました。
事情を察した父親は、
「母親を実家に迎えに行こう」
と言って、彼の手を引き、一緒に実家へ向かいました。
実は、前日の夜、両親は喧嘩していたのです。
「もう我慢ならない」
母親はそう言って、家を出ていきました。
父親は仕事もせず、パチンコやギャンブルで、お金を使い果たしてしまうような人でした。
そのため、母親はいつも、必死で働かなくてはいけなかったのです。
幼い彼はまだ幼くて、両親のそのような事情を知りません。
けれども、現在の彼は大人なので、二人の事情も理解できますし、母親の気持ちを察することもできるでしょう。
退行催眠で、大人の自分が幼い自分をなぐさめる
さらに、退行催眠療法の中では、現在の大人の彼が、幼い彼のそばに寄り添って、「大丈夫だよ」と声をかけ、抱きしめて慰めてあげることもできます。
もし、幼い自分が一緒に遊びたいのなら、大人の自分と遊ぶこともできます。
幼い自分がしたいこと、してもらいたいことは何でも、大人の自分がかなえてあげることができるのです。
そうすることで、幼い自分が安心できるのですが、それだけではありません。
幼い自分が安定すると、現在の大人の自分も安定します。
そして今後も、この経験が、この先ずっと大人の自分の支えになってくれるのです。
催眠療法後の感想
催眠を終えた後、感想をお聞きしました。
「そんなことがあったとは、知らなかったです…」
「ムカつくって気持ちは…、今は、ないかな…。
まぁ、どうでしょうね…。
母親も年取ってるし、それなりに大切にしないといけないですね」
わからないことは不安なもの。腑に落ちると楽になる
催眠で経験したことが、真実かどうか、それは、だれにもわかりません。
けれども催眠で経験したことから、何かが腑に落ちると、その後、困っていた症状が無くなったり、精神的に楽になるということは、よく経験することなのです。
人は、理由がわからないことに不安を覚えますが、「そういうことだったのか」と腑に落ちると楽になるのです。
幼いころの記憶の断片に、本当は何があったのかを知りたいとずっと気になっていることはないでしょうか。
心に抱いている、もやもやした記憶はありませんか。
何があったのかを催眠療法のなかで経験することで、不安が解消されたり、現在抱えている問題が解決する場合もあります。
※母親にむかつくんですに加筆修正を加えています。
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※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
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