前回(モラルハラスメント夫)、前々回(流産の後、まわりからのひと言がつらい)と二回にわたって、綾子さんにバッチフラワーレメディを用いた経過をご紹介しています。
前回は、綾子さんから夫のモラルハラスメントについて相談を受けました。
今回は、妊娠とわかり、今まで流産を繰り返していたことから、不安でたまらないと来院されます。
バッチフラワーレメディを用い、不安は軽減していたのですが、大変残念なことに死産となりました。
その間の経緯をお話しします。
また流産するかもって不安です
モラルハラスメントの相談を受けてから、2か月ほどして再び来院されました。
「先生、私、妊娠しました」
「えっ…!妊娠した?んっ?いやぁ、すっ、すごい!よかったね。おめでとう!」
私はとてもうれしかったんです。
でも、それと同時にすごく驚いてしまいました。
前回、モラルハラスメント夫の話をお聞きして、その直後の診察です。
綾子さんの妊娠報告を受け、さまざまな気持ちが入り混じってしまいました。
(綾子さん、前回、モラルハラスメント夫にすごく怒っていたよね…。
妊娠されたのはすごくいい話なんだけど…。
子供ができた後、夫はどういう態度にでるのかな?
大丈夫かな?
子供の世話だけでも大変なのに、夫のことでさらに心配事が増えないといいんだけど…。
それにだいたい、私、前回の診察で、
「モラルハラスメント夫の影響を受けないように注意しよう、できるだけ離れたほうがいい」
なんて発言してしまっていたじゃないか…。
なんか申し訳ないような、恥ずかしいような…)
複雑な気持ちに戸惑っている私に、綾子さんは全く気づく様子もなく、まくしたてました。
「いままで何度も流産してるから、もう、不安で不安で…、
今度も、だめだったらどうしようとか…、ダメならしょうがないとも思うし…、
そしたら、もう、不安で眠れなくなりました。
結婚して十数年になるんですけど…、今まで、何度か妊娠したんです。
でも、妊娠がわかると、しばらくして流産してしまうっていうことが続いたんです。
流産を繰り返すのって、すごくつらいんです。
それで、子供はもういいって、あきらめていました。
産婦人科の先生はすごくポジティブな人で、大丈夫、大丈夫って言われるんです。
でも、私はとても不安です。
前回、バッチフラワーでイライラしなくなったので、今回も作ってもらおうと思って…」
不安のためなのか、非常に慌てた様子で話し続けます。
診察室のテーブルに置いている、レスキューレメディのパステルを勧め、少し落ち着いたところで、レメディを選んでいきます。
流産するのではないかという不安や恐れ、心配に対しては、ミムラスです。
今まで、流産を経験するたびに、ひどいダメージとショックを受けておられます。
スターオブベツレヘムはその深い悲しみを和らげ、立ち直る手助けをしてくれます。
妊娠という、人生上の大きな転換期を迎えながら、以前経験された流産の不安もあり、新たな一歩を踏み出すことに恐れを抱いています。
このようなとき、ウォルナットは大きな変化に無理なく適応し、乗り越えられるよう助けてくれます。
どこの病院に行けばいいのかわからない
バッチフラワーレメディのトリートメントボトルをお渡しして一か月後です。
「不安で眠れないとか、目が覚めるということはなくなりました」
「それが…、先日、産婦人科の主治医から、大きな総合病院での通院を勧められたんです。
子宮筋腫もあるし、そのうえ高齢出産になるから、NICUのある大きな病院に通院したほうがいいって言われたんです。
私の自宅近くの総合病院にするか、実家近くの総合病院にするか、それとも、大学病院にするかって言われて…、そしたら、もうすごい迷ってしまって…、決められないんです。
出産後、なにかあったら、実家の近くがいいかもしれないし、
でも、通院するなら自宅の近くがいいだろうし、
総合病院にするか、大学病院の方がいいのか…、
毎日、どうしようって思っていたら、夜も眠れなくなりました。
それに、主治医の先生からそんな風に言われたので、
私、大丈夫なんだろうかって思うようになって…、
私、ちゃんと出産できるのかなって、すごく不安になってきました」
いつもなら、迷うことなく選択できる人であったとしても、不安や心配事を抱えていると、選択肢のなかで揺れ動き、結局何も決めることができない、ということは起こりえます。
そのような時は、スクレランサスを用います。
スクレランサスは、トラウマを和らげ集中力をもたらします。
さらに、選択肢の差を的確に評価し、判断できるように助けます。
さらに、御自身の判断力に自信をもつことができるでしょう。
また、同じことばかり考えて、頭の中でぐるぐる回りをしてしまっていますので、ホワイトチェストナットも必要です。
また、妊娠、出産に対する不安も強く、ミムラスは必要です。
お話しをしているうちに、少しずつ落ち着いてこられた様子でした。
「バッチフラワーがあると安心します。
バッチフラワーを飲むと、悩みにとらわれすぎないようになると思います。
悩みのことは忘れているわけではないんです。
だけど、なんでも、悩みのせいにしてしまったり、すぐに悩みのことばかり思い出すのではなく、考え方が変わるというか、悩み以外のことにも頭が向くようになります。
それに、なんといっても、よく眠れます」
自分が変わると相手も変わる
ご主人のことも尋ねてみます。
「妊娠がわかってからは、何でもしてくれるようになりました。
バッチフラワーレメディを飲んで私が変わったので、主人も変わったのかもしれません」
自分が変わると、周りも変化する。
バッチフラワーレメディを用いていると、そういうことをよく経験します。
ご自身の反応や対応が変わると、必然的に相手にも変化がおこります。
相手が変わると、さらに、ご自身にも変化が起こります。
そしてさらに相手も変化するといったふうに、人との関係や、力のバランスなどは、らせんを描いて変化していきます。
決して、平面上でぐるぐる回りをするのではなく、すこしずつ次元を上昇させながら、らせんを描いて変化するのです。
「今回は、バッチフラワーレメディのおかげで、妊娠できたと思っています」
バッチフラワーレメディを服用して、精神的に安定すると、身体的にも安定し、妊娠の準備が整うということはあるかもしれません。
「これからも、妊娠中ずっと、バッチフラワーレメディで乗り越えていきたいです」
笑顔で、その日の診察を終了しました。
妊娠中は、気持ちが不安定になることがあるかもしれません。
そのような場合、バッチフラワーレメディがいつでも助けてくれるでしょう。
死産になり、後悔することばかりです
3か月後の来院です。
「先月、死産になってしまって…」
私は言葉を失ってしまいました。
「妊娠19週でした。
最初、破水したので病院に行ったんです。
その時点では胎児は生存してるって言われて、ほっとしたんですけど…、
でも、障害ある可能性が高くて、今後生存は難しいとかっていろいろ説明があって…。
このまま妊娠を継続させて様子を見るか、死産とするか選択しないといけなくなったんです。
すごくいろいろ考えて、あきらめました。
中絶手術もすごく大変で、とてもつらかったです。
届を出して、火葬になって…。
そしたら、またいろいろ考えてしまいました。
もしかして、早くに決めすぎたんじゃないかなぁとか、もっと自分が頑張った方がよかったんじゃないかとか…。
病院からカウンセリングを勧められて受けたんですけど、これが、あんまりよくなくて…。
今は、体調はいいです。
病院から、胎盤病理の結果を教えてもらったのですが、特に異常なくて、原因不明って言われたんですね。
原因不明なんだったら、私がもっとこうしたほうがよかったんじゃないかって、後悔したり…。
もう、後悔することばかりです。
これまでの自分の選択は正しかったんだろうかって考えてしまいます。
あの時こうすればよかったのかなとか、あの時のあの行動がよくなかったのかなとかって…。
でも、私は精いっぱい頑張ったんだし、これでいいのかもとも思います。
これからどうしたらいいんだろうかって考えます。
仕事もどうしようって…。
妊娠したことに何の意味があったんだろうかって考えます。
何を伝えたかったんだろうとか…、私に何か伝えるものがあったんじゃないかなとか…。
なので、ほんと、これからどうしようかって思います。
どういう風に仕事したらいいだろう。
今回の経験を糧にして、どういう仕事をしたらいいのかなって考えています」
死産という大変つらい経験をされた直後なのにもかかわらず、「この経験を糧にしてこれからどうするべきか」を考えていると言われ、本当に頭が下がります。
今の仕事を頑張りたいということかもしれませんし、これから何か新しいことを始めようと考えておられるのかもしれません。
そんな綾子さんを心から応援したいと思いながら、バッチフラワーレメディを選びます。
スターオブベツレヘムはショックやトラウマを緩和してくれます。
また、気持ちの落ち込みに対してゲンチアナを、つらい出来事を何度も繰り返し思い出し、考え込んでしまうところにホワイトチェストナットをお出します。
自分の責任ではないかと自信を責めてしまうところには、パインを用います。
人生の岐路に立ち、次の一歩をどちらに踏み出せばいいのかわからないとき、ワイルドオートが助けてくれます。
自分が求めているものは何なのか、また進むべき方向はどちらなのか、はっきりしてきます。
綾子さんのお話はさらに次回に続きます。
※関連記事です。
流産の後、まわりからのひと言がつらい
モラルハラスメント夫
死産を乗り越えて
死産後、夫がうつ病に
死産を経験した私だからこそできること
※前々回「流産の後、まわりからのひと言がつらい」、前回「モラルハラスメント夫」、本記事「死産を乗り越えて」は、「主人にイライラするんです」と「妊娠中のバッチフラワーレメディ」をもとにして、大幅に加筆修正を加えまとめたものです。
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
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