クリニック千里の森では、心だけ、もしくは体だけを診るのではなく、「こころとからだの両方の視点」から診ることをたいせつにしています。
こう聞いて、どのように思われたでしょう。
なんだかいいことのように思うけど、具体的にどういうことなのか、よくわからないかもしれません。
今回は、「こころとからだの両面からアプローチする」診療とは、どのようなものなのか、お話ししたいと思います。
うつやパニック障害の方に「こころとからだの両面」からアプローチ
たとえば、うつやパニック障害などの症状で来院された場合の診察をみてみましょう。
症状についてはもちろんのこと、感情面、お気持ちについて、ていねいにおはなしをうかがいます。
発症したころにおこったできごとや、きっかけなどはなかったでしょうか。
症状はどんなときに悪化しますか。
少し軽くなるときはどんなときでしょう?
さらに、症状や感情面以外のお話もうかがいます。
食事内容や、睡眠、入浴などの生活習慣についてもお聞きし、さらに身体症状についてもうかがって、栄養状態を含めた全体を診させていただきます。
不安やうつの症状に対しては、感情面に対応する治療法をいくつか提案し、説明したうえ、ご希望に合わせて選んでいきます。
それだけなく、栄養状態の改善を含めた身体面からもアプローチしています。
これは、心の不調が栄養状態のアンバランスから来ていることがあるためです。
たとえば、パニック障害やうつ状態などは、血糖コントロールの不良から起こっている場合があります。
血糖値の乱高下や低血糖状態にあるとき、ひとの感情は大きく揺らいでいます。
血糖コントロールを上手に行うことで、症状が軽快するケースがあります。
なかには症状がすっかりなくなる方もいらっしゃって、「血糖値が原因だったなんて…」と、大変驚かれます。
栄養療法を希望の方にも「こころとからだの両面」からアプローチ
一方、栄養療法を目的に来院された場合でも、栄養状態を診るだけでなく、ストレスの有無など感情面からもアプローチしています。
ストレスや、緊張状態が持続しているために、消化吸収能力が低下しており、そのために栄養状態が悪化している場合が少なくないためです。
ストレスの原因として、仕事や夫婦関係を上げられる方が多いのですが、よくよくお話しを聞いていくと、実は、こどものころの親子関係から端を発していたとわかることも少なくありません。
栄養療法を続けているがよくならないという方には、感情面からのアプローチが必要な場合が多くみられます。
サプリメントをとるだけではなかなか改善しなかった症状が、感情面が安定するとともに、すべてが良い方向へと変わっていく経過を経験しています。
さらには、腸内環境の改善も重要なポイントです。
ストレスがかかるとおなかを壊しやすくなったり、ひとによっては便秘傾向に傾くなど、心と腸が関係しあっていることを、自身の体を持って実感されているかたも少なくないと思います。
このような腸脳相関は、腸の働きからも見て取ることができます。
腸管はセロトニンなどの神経伝達物質やホルモンを産生しており、単に食物の消化吸収と排泄を行う器官ではありません。
腸内環境の悪化は、これら神経伝達物質やホルモン産生を低下させ、感情面の不安定さにつながります。
統合医療カウンセリングとは
心の不調が体の不調をもたらしますし、体の不調は心の不調をひきおこすなど、こころとからだはつながっています。
心だけ、もしくは体だけをみるのではなく、こころもからだも両方から治療に当たるのは自然なことなのです。
このような、心と体の両方の視点からお話しをうかがい、西洋医学に補完代替医療を組み合わせ、最適な治療法を提案する、これが統合医療カウンセリングです。
カウンセリングでは、症状やお悩みのほか、今まで受けてこられた検査や治療内容などについてもお聞きします。
さらに、食習慣、運動、睡眠などの生活習慣についてもうかがい、症状改善のためのいくつかのポイントをお伝えしています。
なかでも大切にしているのは食事です。
「食事では何を食べるとよいのか」について具体的な食事内容を例に、わかりやすくお伝えしています。
口に入れる食べ物を選ぶこともとても大切なことなのですが、それよりも重要なのは、実は、避けるべき食べ物をとらないことなのです。
なぜ食べない方がいいのか、その理由を理解していただくと、今までよく食べていたものであっても、口にしないようになっていきます。
そして、よりいっそう、ご自身のからだの変化に気づきやすくなります。
このような具体的な食事の話には、みなさん、強い関心をお持ちです。
熱心に聞いていただいているので、わたしも熱が入りますし、多くの方がたくさんメモして帰っていかれます。
暗い表情で来院された方も、
「始めて聞くことばかりで、とても新鮮でおもしろかった。ぜひ今日から実践したい」
と、すっきりした表情でクリニックを後にされます。
診療時間が90分の理由
さまざまな視点からお話をうかがいながら、治療についての説明も行いますので、診察時間は長くなりがちです。
初診の場合には約90分ほどのお時間を見ていただいていますが、相談者様によって、また相談内容によって要する時間は異なります。
感情面と身体面の両方からアプローチするため、初診ですべてをお伝えするには限界があり、90分の診察時間では伝えきれないことがらもでてしまいます。
また、患者様にとっても、一回の診察ですべてを理解するのは難しいかと思いますし、実際に日常生活で試していくうち、さまざまな疑問点がうまれます。
そのため、症状や病態にもよりますが、1-2か月後の再診をお勧めしています。
落ち着かれましたら、半年から1年に1回程度の頻度でフォローされる方が多いです。
まとめ
クリニック千里の森が診療でたいせつにしている「こころとからだの両方の視点から診察する」ということについてお話ししてきました。
診療時間が長い理由や、診察では何をしているのかについても説明いたしました。
患者様のなかには、
「栄養療法を希望しているけれども、栄養だけでなく、精神面からも見てもらえると思って予約した」
「栄養療法を続けているけれども、精神面をみてくださるかたが必要と思って来院した」
と話してくださるかたがいらっしゃって、とてもうれしく思っています。
クリニック千里の森のホームページをみて、「こころとからだの両方から診る」ことの必要性を理解してくださっているようです。
一方、ホームページに、このたいせつなポイントを明記していなかったことに気づき、大いに反省しています。
こんなたいせつなことが抜けていたなんて、なんてことでしょう。
本当に申し訳ありません。
クリニックがたいせつにしている点を明確にしようと、現在、サイトの変更を準備中です。
同時に、クリニック千里の森で扱っているさまざまな検査についての説明ページも作成予定です。
多くのみなさまに見ていただけるよう、わかりやすいホームページを目指します。
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