「悲しくて、辛くて泣いていたら、親から『泣くな』といわれました」
「親がひどいことをいうので抗議したら、『怒るな』といわれました」
「『何があってもいつも笑顔でにこにこしていなさい』といわれました」
クリニックに来院される方からこのようなお話をよくお聞きします。
まるで、「何も感じるな。表情だけ機嫌よさそうにしていろ」と命令されているみたいです。
子どものころからずっとこのようなことを、両親から叩き込まれて、疑うことなくおとなになると何がおこると思いますか?
嫌なことがあっても、「他人の気分を害さない」ことがもっとも重要だとしつけられて、ずっとこの信念を手放さないでいるとどうなるでしょうか。
嫌なときは抗議していいし、泣きたいときは泣いたっていい
他人が、あなたに向かって嫌なことをいったり、したりしても、あなたがニコニコしていたら、「この人はいやだとは思っていないらしい」と思われてしまいます。
社会では、嫌なことがあったら、「私はいやです」と表明しない限り、他人には伝わりません。
嫌なことはいやだとはっきり抗議していいのです。
ところが、親からは、「嫌なことがあっても嫌な顔をしてはならない」といわれ、怒って声を荒げると𠮟られてきました。
大人になった今でも、親のいいつけをしっかり守り、抗議しないで黙っていると、他人には、あなたがどう感じているのかは伝わらないでしょう。
子どものときは、親のいう通りにしないと生きていけませんでしたから、親のいうことを聞かないわけにはいきませんでした。
けれども、今は、もう大人です。
親のいいつけを気にする必要はありません。
嫌なときは抗議していいし、泣きたいときは泣いたっていいのです。
「こうあるべき」「ねばならない」を手放す
さらに、これらの親のいいつけは、「こうあるべき」「ねばならない」をつくり出していることにも注意してください。
「私は怒ってはいけない」
「ニコニコしていなければならない」
と自分で自分を縛っているということはありませんか。
疑問に感じたなら、「するべき」も「ねばならない」も、もう手放してもいいと自分にいってあげましょう。
嫌なこといわれても我慢している自分に気がついたら、「嫌だって感じてもいいんだよ」と心の中で声をかけてあげましょう。
そして、気持ちが楽になったなら、このような信念は、もう手放してもいいというサインです。
「こうあるべき」「ねばならない」を手放して、もっと楽になっていいのです。
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