亜鉛が不足すると味覚が落ちる、ということはよく知られていますが、亜鉛の働きはそれだけではありません。
傷や火傷の回復を促す
血糖を調整する
成長を促す
など、数多くの重要な働きをしています。
今回は、亜鉛のさまざまな働きについて解説し、亜鉛をじょうずにとるポイントについてもお伝えします。
亜鉛は細胞分裂に必須
亜鉛は、体内の300種類以上の酵素に含まれ、DNA合成、タンパク質合成などに作用することから、からだの成長と維持に必須のミネラルです。
そのため細胞分裂が盛んな組織、すなわち骨、皮膚、粘膜、味蕾、性腺組織などで、より多く必要になります。
亜鉛が欠乏すると、味覚がわからなくなることはよく知られていますが、それは味を感知する味蕾細胞のターンオーバー(細胞が一定周期で生まれ変わる)がうまくいかないためです。
美しい肌をつくる
「けがをした後、傷がなかなか治らない」
「傷口がいつまでもジュクジュクしている」
そんな経験をされたことはありませんか。
けがをした後、傷口を修復するためにはコラーゲン合成が必要です。
亜鉛が不足するとコラーゲン合成が進まないため、傷の治りが遅れてしまうのです。
「虫刺されの跡が治りにくい」「傷が化膿しやすい」という時は亜鉛欠乏を考え、亜鉛を意識して摂るとよいでしょう。
傷だけでなく、アトピー性皮膚炎などの皮膚トラブルの修復にも、亜鉛は必要です。
亜鉛が不足すると、肌のターンオーバーもうまくいかないため、スキントラブルがおきやすくなります。
美肌のために、亜鉛は必須のミネラルなのです。
血糖を調節する
亜鉛は、インスリンの分泌にも関連しています。
そのため亜鉛低下は血糖コントロールの不良を招きます。
低血糖症の方は、血糖値乱高下を起こしていることが少なくありません。
血糖コントロールのためにも亜鉛の欠乏は避けたいところです。
妊娠しやすい体をつくる
亜鉛不足は、不妊、流産の原因のひとつとして重要視されています。
亜鉛は、精子を作るために必要な栄養素です。
不足すると精液量や精子数が減少し、精子の活動性が低下します。
女性の妊娠にとっても必要な栄養素です。
亜鉛が不足すると、卵子の成長が妨げられます。
さらに、排卵や着床に関係するホルモンの機能も低下するなどして、不妊症を引き起こす可能性があるのです。
免疫を高める
亜鉛は免疫にも必要な栄養素です。
亜鉛は、免疫細胞の働きを活性化させる作用を持っています。
粘膜の健康を守るビタミンAの効果を高めるには亜鉛が必要です。
亜鉛とビタミンAの働きにより、花粉やウイルスなどの侵入を防いでいるのです。
このように、亜鉛は全身のさまざまな代謝の補酵素として重要な役割を果たしており、亜鉛不足は全身の不調を招きます。
亜鉛をじょうずに摂る
亜鉛は牡蠣、牛肉、豚肉、豚レバー、卵、ナッツ などに多く含まれます。
加工食品や精製された穀類を日常的に多く摂取していると、亜鉛は不足しやすくなります。
肉類をあまり食べない方も不足しやすいです。
亜鉛は無機鉄と同じ吸収経路を通ります。
そのため非ヘム鉄である無機鉄をたくさん摂ると、亜鉛の吸収が妨げられてしまいます。
亜鉛のサプリメントを摂るときは、鉄サプリメントと同時にとらないようにするなど工夫していただくとよいでしょう。
院長 野口 由美
医学博士(大阪大学)/放射線診断専門医/抗加齢医学会専門医
関西医科大学卒 関西医科大学内科、大阪大学放射線科、九州大学心療内科
日本メディカルホメオパシー学会認定医
大阪大学で医学博士を取得。
内科・心療内科・放射線科での臨床経験を重ねた後、クリニック千里の森を開設。
西洋医学に加え、分子整合栄養医学や伝統医学、補完代替医療を取り入れ、一人ひとりに最適な治療を行っている。
