2026年7月5日、「日本オーソモレキュラー医学会」のセミナーに登壇し、「食事が変われば睡眠が変わる」と題して講演いたしました。
睡眠の問題には、夜の過ごし方だけでなく、日中の食事や血糖値の変動も関係しています。
日々の診療でも、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝起きられないといった悩みの背景には低血糖の存在を認めています。
血糖値が不安定になると、身体は血糖値を維持するために、アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンを分泌します。
こうしたホルモンは身体を緊張させ、覚醒させる方向に働きます。
そのため、夜間低血糖になると、そもそも眠れなくなり、眠ったとしても途中で目が覚めてしまいます。
熟睡するためには、朝食や昼食、間食の内容を含め、日中の血糖コントロールを見直すことが重要なのです。
今回の講演では、こうした睡眠と低血糖についてお話ししました。
子どものころから続く、原因不明の体調不良
今回の講演でお話しした内容の原点には、子どものころから長く続く、私自身の体調不良があります。
私は子どものころから朝が苦手で、いつも時間ぎりぎりに登校していました。
子どもなのにいつも疲れていて、たびたび風邪をひいて寝込んでいました。
常にお腹をすかせていて、お菓子を爆食する生活を送っていました。
医師になると、疲労感はさらに強くなります。
いくら寝ても疲れは取れず、頭痛のために数日間寝込むこともありました。
なぜこれほど体調が悪いのか、理由はわかりませんでした。
栄養療法との出会いで気づいた「低血糖」
転機となったのは、溝口徹先生の栄養療法セミナーに参加したことです。
セミナーで学ぶなかで、長年続いてきた自分の体調不良に、低血糖が関係しているのではないかと気づき、食事を見直し、低血糖対策を始めました。
すると、次第に朝起きられるようになり、慢性的な疲労や頭痛も改善していきました。
こどものころからずっと、理由がわからないまま抱えてきた不調が、食事を変えることで改善していったのです。
変わったのは、身体の症状だけではありません。
物事の受け止め方や、性格まで変わりました。
性格だと思っていたものは、低血糖症状だった
以前の私は、日常の診療業務に加えて、学会発表や論文執筆など、多くの仕事を抱えると、「間に合わない」「できないのではないか」と、不安や焦りに押しつぶされそうになっていました。
さらに、私独自のこだわりも多く、神経質で、潔癖症な性格なのだと思っていました。
ところが、低血糖が改善すると、それまで感じていた不安や焦りが消え、こだわっていたことも気にならなくなりました。
困った性格だと思っていたものは、低血糖に伴う症状だったのです。
低血糖になると、血糖値を維持するために、アドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールなどが分泌されます。
それらの影響で心身が緊張状態に入り、不安感や焦燥感、イライラなどが現れます。
私は、低血糖によって生じていた不安や焦りを、自分の性格だと思い込んでいたのです。
私自身の経験が、現在の診療につながっています
この経験をきっかけに、患者さんを分子栄養医学の視点から診るようになりました。
すると、不眠、慢性疲労、頭痛、不安、抑うつ、不登校など、さまざまな症状で来院される患者さんの約9割に、低血糖が認められました。
原因のよくわからない体調不良の背景に、低血糖が隠れていることがあります。
私自身も、長年、理由のわからない不調に悩み、食事を見直すことで改善することができました。
だからこそ、一人でも多くの方に、低血糖や血糖コントロールについて知っていただきたいと思っています。
今回の講演は、睡眠と低血糖の深い関係について、多くの方にお伝えする貴重な機会となりました。
私自身の経験から生まれたこの思いが、現在の診療にも、今回の講演にもつながっています。
院長 野口 由美
医学博士(大阪大学)/放射線診断専門医/抗加齢医学会専門医
関西医科大学卒 関西医科大学内科、大阪大学放射線科、九州大学心療内科
日本メディカルホメオパシー学会認定医
大阪大学で医学博士を取得。
内科・心療内科・放射線科での臨床経験を重ねた後、クリニック千里の森を開設。
西洋医学に加え、分子整合栄養医学や伝統医学、補完代替医療を取り入れ、一人ひとりに最適な治療を行っている。
