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不安障害の意外な原因

「動悸がして、不安でたまらない」と悩む60歳の女性が相談に見えました。

 

めまいやふらつきにも悩まされ、さらに、朝つらくて起きられなくなるなど、徐々に健康に自信がなくなってしまったと話されます。

 

血液検査結果から、不安や動悸、そのほか様々な体調不良の原因を読み取り、その対策についても解説いたします。

介護疲れから動悸が悪化

「動悸がして、不安でたまらない」と悩む60歳の女性が相談に見えました。

 

両親の介護で、実家に毎日通うようになり、疲労を感じていたところ、動悸を頻繁に感じるようになったと言います。

 

実は数年前、健康診断で不整脈を指摘され、病院を受診しており、心電図で心室性期外収縮を指摘されました。

 

その後、さまざまな検査を受けたのですが、特に重大な問題はないということで、薬を処方され通院しています。

 

以前は、なんとなく「脈がとんでいるなぁ」「脈が早いなぁ」と感じるくらいで、特に気になることはありませんでした。

 

ところが、介護で頻繫に実家と自宅を行き来するうち、「脈が飛んでいる」と気づくことが多くなり、動悸を強く意識するようになりました。

 

すると、動悸がひどくなって、このまま死んでしまうのではと不安に感じることが多くなり、悩んでいます。

 

特に、朝起床時や、夜寝る前に、動悸を感じ、不安になることが増えました。

 

さらに、めまいやふらつきもおこるようになり、耳鼻科にも通い始めました。

 

朝、起きるのもつらくなり、椅子からたちあがるのもしんどくて、もう年だしなぁと、健康に自信が持てなくなってしまったのです。

 

そうこうしているうちに、ちょっとしたことで、すぐにドキドキしたり、不安に感じることが多くなりました。

なぜか急に気持ちやからだがざわざわすることがあり、それも不安になっています。

 

血液検査から読みとる頻脈と疲労の原因

以前の検診結果を見せていただきました。

 

血液検査結果に、「頻脈を感じて、不安になる原因」が示されています。

 

さらに、「からだがしんどい」「なぜかざわざわして不安になる」原因もわかります。

 

血液検査結果から、解説していきますね。

 

 

中性脂肪は40-50と非常に低値です。

 

栄養療法的には、100mg/dlを目指したいところですので、これはかなり低いです。

 

これは、低血糖を示していますから、かなり、からだがつらかったのではないかと思います。

 

 

低血糖だと、エネルギーをつくれないので、体を動かせないのです。

 

そのため、「朝起きにくい」「椅子から立ち上がりにくい」ということが起こります。

 

朝起きられないのは、決して年齢のせいなどではないんです。

 

食事を変えると、疲れやすさはなくなりますよ。

 

普段、何を食べていますか

毎日、どのようなお食事をとっておられますか?

 

朝は、ごはん、味噌汁、納豆

昼は、うどんとか、パン

夕食は、ごはん、肉か魚、野菜といろいろです。

 

間食はしますか?

 

甘いものをよく食べます。

あんぱんとか、あんこのお菓子が多いです。

アイスクリームもよくたべます。

 

三食とも、ちゃんと食べておられますので、

甘いお菓子をよく食べる事が一番の問題かもしれませんね。

血糖値の変化が動悸や不安を引き起こす

低血糖の前には、必ず、急激な高血糖があるんです。

 

急激に血糖値が上昇するとインスリンが急激に大量に分泌されるため、血糖値が急降下するわけです。

 

低血糖は体にとっては、死に直結する緊急事態です。

 

なぜなら、からだのすべての活動は、主に糖からエネルギーを作ることで賄われています。

 

心臓を動かすにも、呼吸を続けるにもエネルギーが必要です。

 

エネルギー不足だと、筋肉を動かすことができません。

 

そのため、低血糖になると、緊急事態のホルモンである、アドレナリン、ノルアドレナリンが分泌され、血糖値をあげようとします。

 

このとき、どこから糖をもってくるのかというと、

自分の脂肪と筋肉をこわして糖に変換しているのです。

 

これでは、せっかく作った自分の家(自分の脂肪と筋肉)を壊して暖をとるようなもので、いいことをしているのか、悪いことをしているのかわけがわかりません。

 

 

アドレナリン、ノルアドレナリンを分泌して

血糖値がもとにもどったら、それはそれでメデタシめでたしなのですが、

一方で困ったことが起こります。

 

アドレナリン、ノルアドレナリンが分泌されると、交感神経優位になるからです。

 

これは、たとえば、急にクマやライオンに遭遇したときと同じ状況です。

 

びっくりして動揺して、

ドキドキして、

手に汗握って、

体に力が入りますよね。

 

低血糖になると、目の前にクマやライオンはいないんだけど、これとおなじような変化が起こります。

 

交感神経優位だと「ドキドキ」するわけなので、

急に動悸を感じます。

 

交感神経優位だと

「動揺する」

つまり、精神的に不安定になります。

 

「不安」や「焦り」を感じているかもしれません。

 

「動悸がするから不安」なのかもしれませんが、

低血糖のために、不安を感じているのかもしれないのです。

夜間低血糖

夜寝る前、就寝中も低血糖を起こしやすい時間帯です。

 

食べたり飲んだりできる日中に低血糖を起こしているのですから、

飲み食いできない、寝ている間は、低血糖必発です。

 

就寝中に低血糖になってしまうと、交感神経優位になるため、頭が冴えて目が覚めます。

 

すると交感神経優位な状態になっているものだから、

「動悸がする」

「不安になる」

わけです。

 

お悩みの症状である、「動悸や不安」が、低血糖の交感神経優位な症状と結び付いているということ、理解していただけたでしょうか。

 

「めちゃくちゃ、納得しました!!

いやぁ、そうだったんですね。

低血糖、はじめて聞きました。

 

もう、心臓の問題だとばかり思っていました。

心臓の検査もたくさんしたし、心臓の薬も飲み続けています。

 

動悸だから不安を感じていると思っていたら、低血糖のために不安になる、焦るって、たしかにそうかもしれません。

思い当たることがたくさんありすぎて…。

まさか食事が関係していたとは、驚きです」

 

低血糖対策は、高血糖を防ぐことから始める

そしたら、次は、低血糖対策をどうするのかってことですよね。

 

低血糖は、高血糖の後に起こります。

 

だからまず、高血糖を起こさないようにすることが重要になってきます。

 

 

高血糖を起こさないようにするポイントは

 

「急激な血糖値上昇をきたす食べ物を避ける」ということです。

 

 

「急激な血糖値上昇をきたす食べ物」

その代表が、小麦粉製品と砂糖です。

 

そのほか、牛乳、カフェイン、アルコールも控えていただくとよいでしょう。

 

 

お昼の「うどん、パン」は、ごはんに変えられるといいのですが、可能でしょうか。

 

「大丈夫です。

お昼はなんとなく、軽く、早く済ませたくて、麺類かパンになっていました。

やっぱり手を抜かないで、ごはんがいいのですね。

お弁当にします」

 

「牛乳はやめた方がいいということですが、ヨーグルトも控えた方がいいのですか?」

 

牛乳だけじゃなく、ヨーグルト、チーズも控えた方がいいのです。

 

「コーヒーは毎日1-2杯くらい飲んでいました。

コーヒーってなんとなく飲んでしまっていました。

ちょっと休憩にコーヒーという感じですね」

 

カフェインはできるだけ控えたいので、コーヒー以外にも、緑茶、紅茶、ほうじ茶なども注意が必要です。

 

「たしかに、お茶にもカフェイン入っていますね。

緑茶は体にいいと思って、毎日飲んでいます」

 

緑茶が健康によいのは確かです。

 

ただ、低血糖症状があるときは、治療のひとつとして、しばらく控えると思ってください。

 

症状がなくなれば、また、飲んでいただいてかまいません。

 

水分は水でとるのが一番いいのです。

 

水とお茶は、全くちがう飲み物です。

 

「毎日夜ビールを飲むので、これもやめた方がいいですね」

たんぱく質不足が引き起こす重大な問題

血液検査結果から、低血糖以外にも気になる点があるんです。

 

AST ALTが低くて、γGTPも低値ですから、たんぱく質代謝が低下しています。

 

たんぱく質をあまり食べておられないのか、

もしくはちゃんと食べているけど、たんぱく質を十分に消化、吸収できていないのかもしれません。

 

三食とも、わりとちゃんと料理して、しっかり食べておられるので、もしかすると、たんぱく質をちゃんと消化吸収できていないのかもしれません。

 

 

気持ちがいつも落ち着いているのは、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が十分に作られていて、使用されているからなのです。

 

神経伝達物質は、まず、たんぱく質がなければ作ることができません。

 

また、製造過程で、ビタミン、ミネラルが必要になります。

 

「なぜか不安になる」「なんだかぞわぞわする」というのは、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足して、神経伝達物質を作ることができないからかもしれせん。

タンパク質の上手なとり方

一食につき、たんぱく質は、2種類から3種類をとるように気をつけてください。

 

「お魚、お肉、豆腐、納豆、卵」から2,3種類を選んでとるといいですね。

 

 

また、たんぱく質としてとる以外に、アミノ酸の形でとるという方法もあります。

 

アミノ酸はタンパク質の最小単位です。

 

 

タンパク質だと、咀嚼して、消化吸収しなくては、自分の体で使うことができませんが、

アミノ酸の形でとると、すぐに吸収されて、自分の体で使うことができるんです。

 

 

アミノ酸の形でとるってどういうことかというと、お出汁やスープでとるということですね。

 

お出汁にはお魚のアミノ酸がたくさん含まれていますし、

骨付き肉から煮だしたスープはお肉のアミノ酸がたくさん含まれています。

 

そのうえ、液体なので、咀嚼の必要がありません。

しんどい時でもとりやすいです。

 

また、温かいお出汁の香りは、副交感神経優位にさせてくれます。

 

低血糖で交感神経優位になっているときでも、気持ちやからだをやわらげてくれるのです。

 

 

お出汁のもとである、いりこの粉をごはんや青菜、豆腐にかけるという方法もおすすめです。

 

 

「今までもよくそういうことを聞いていたけど、そんなことで元気になるわけないって思ってました。

 

実は、意味のあることだったんですね。

 

今日、しっかり説明を聞いて納得したので、とりいれてみようと思います」

 

 

消化吸収を助ける方法ですが、

大根おろしや、山芋すりおろしは消化を助けます。

 

消化酵素サプリメントを食前にとる方法もいいと思います。

 

 

「わかりました。

低血糖の話は、思い当たる点がたくさんありすぎて、今までの食生活について猛反省しています。

 

今日、すべての疑問が解けました。

 

くわしく説明を聞いて、いろんなことが、ひとつながりになったような気がします。

ぜひ取り入れてみようと思います」

 

低血糖対策を始めて楽になった

1か月後、

「以前のように、急に不安になったり、ぞわぞわする感じはなくなりました。

 

からだがスッキリして、楽になった感じがしています。

 

低血糖対策がよさそうなので、このまま続けていこうと思います」

 

 

半年後、

「動悸のことは気にならなくなりました。

 

時々、不安になることはありますが、以前のように、いつまでも引きずってしまい、さらに不安になるというようなことはなくなりました」

※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。

クリニック情報

「クリニック千里の森」は、栄養療法・バッチフラワーレメディ・ホメオパシー・催眠療法を用いた、補完代替医療・統合医療の心療内科クリニックです。完全予約制、自由診療となります。

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