体調が変わると、食べたいものまで変わりました
以前の私は、カボチャの煮物や煮豆、酢の物が好きで、よく食べていました。
「自分は、健康的なものが好きなんだ」
そう思い、自分の食の好みを、なんなら少し誇らしく感じていたくらいでした。
今振り返ると、少し恥ずかしいのですが。
ところが、低血糖が改善した今、食の好みは大きく変わりました。
甘辛く味付けされた煮物を、以前ほど食べたいと思わなくなったのです。
振り返ってみると、私はカボチャや豆そのものが好きだったというより、煮物に含まれる「甘さ」を求めていたのだと思います。
酢の物も同じです。
さっぱりした味が好きなのだと思っていましたが、実際には、合わせ酢に含まれる砂糖の甘さを求めていたのかもしれません。
この経験から、食の好みは、単なる嗜好だけで決まるものではなく、体の状態にも影響されると気づきました。
低血糖になると、すぐに血糖値を上げるものが欲しくなる
血糖値が下がり、体がエネルギー不足になると、体はすぐに血糖値を上げられるものを求めます。
それは、砂糖を多く含むお菓子や甘い飲み物だけではありません。
甘く煮たカボチャや豆、甘い味付けの煮物、砂糖を使った酢の物なども、体にとっては血糖値を上げやすい食べ物です。
本人は、
「これが好きだから、自分で選んで食べている」
と思っています。
けれども実際には、低血糖によるエネルギー不足を補うために、体が甘いものを求めている結果なのです。
「好物」だと思っているものは、必ずしも本当の意味での好物とは限らないということになります。
女性は本当に甘いもの好き?
「女性は甘いものが好き」と、よく言われます。
ケーキやクッキー、チョコレート。
クリームがたっぷりのパンケーキや、パフェ。
こうしたものを好むのは、女性だから当然だと思われがちです。
けれども、本当に「女性だから」好きなのでしょうか。
もしかすると、低血糖の状態にある女性が、甘いものを強く求めているとも考えられます。
甘いものを食べると、一時的に元気になったように感じます。
ところが、その後に再び血糖値が下がると、また甘いものが欲しくなります。
この繰り返しによって、
「私は甘いものが大好き」
という感覚が、さらに強くなっていくのです。
甘いものを食べることで、さらに甘いものを欲しくなる循環に入っているというわけです。
甘い煮豆が大好き
不眠のご相談で受診された方のお話です。
一日中ずっと飴をなめているそうで、甘く煮た豆が大好物と言われます。
飴をなめると、一時的に血糖値が上がります。
しかし、その後に血糖値が下がると、体は血糖値を維持するために、アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンを分泌します。
このような血糖値の変動が夜間にも起こると、眠りが浅くなったり、途中で目が覚めたりする原因の一つになります。
そこで、常になめていた飴をやめていただき、低血糖を起こしにくい食事へと変えていただきました。
熟睡できるようになると、こう言われたのです。
「以前ほど、煮豆を食べたいと思わなくなりました」
煮豆が嫌いになったわけではありません。
体が甘さを必要以上に求めなくなったことで、「どうしても食べたい」という欲求が弱くなったのです。
甘いものが食べたいのは、体のサイン
甘いものを食べたいと思うこと自体が、悪いわけではありません。
好きなものを楽しむことも大切です。
ただし、
「甘いものを毎日食べずにはいられない」
「空腹になると、お菓子を一気に食べてしまう」
「いつも飴やチョコレートを持ち歩いている」
「甘い煮物や甘い味付けの料理ばかり食べたくなる」
という場合は、単なる好みではなく、低血糖やエネルギー不足が関係している可能性があります。
食の好みは、その人の趣味や性格だけで決まるものではありません。
そのときの体の状態が、食べたいものに影響していることがあります。
たくさん運動したあとに甘いものが欲しくなるのも、一時的に血糖値が下がり、体がエネルギーを求めているためでしょう。
また、「最近、なぜか甘いものが無性に食べたくなる」と感じたときには、仕事が忙しくなっていないか、睡眠不足が続いていないか、強いストレスがかかっていないかを振り返ってみてもよいかもしれません。
甘いものが欲しくなることを、ただ「意志が弱いから」と考えるのでもなく、
気持ちのままにお菓子を食べ続けるのでもなく、
体からのサインかもしれないと考えてみてはいかがでしょう。
食事の間隔が空きすぎていないか。
きちんと食事が取れているか。
睡眠や休息が足りているか。
一度、振り返ってみてください。
自分の体の状態を知り、体調を整えるきっかけになることがあります。
私自身、低血糖が改善して初めて、自分が「好き」だと思っていた食べ物の一部は、体がエネルギーを求めた結果、選んでいたものだったと気づきました。
食べたいものは、自分の好みだけで決まっているわけではないのです。
当院では、症状だけを見るのではなく、食事の内容や血糖値の変動、睡眠、ストレスなども含めて、その方自身の状態を診ています。
「甘いものがやめられない」
「空腹になるとしんどい」
「疲れやすい」
「眠りが浅い」
こうした悩みは、それぞれ別の問題に見えても、低血糖やエネルギー不足など、共通する背景がみられることがあります。
今の体で何が起きているのか、そして何が必要なのかを一緒に考えていくことが、体調を整える第一歩だと考えています。
院長 野口 由美
医学博士(大阪大学)/放射線診断専門医/抗加齢医学会専門医
関西医科大学卒 関西医科大学内科、大阪大学放射線科、九州大学心療内科
日本メディカルホメオパシー学会認定医
大阪大学で医学博士を取得。
内科・心療内科・放射線科での臨床経験を重ねた後、クリニック千里の森を開設。
西洋医学に加え、分子整合栄養医学や伝統医学、補完代替医療を取り入れ、一人ひとりに最適な治療を行っている。
