「最近、なんだかイライラする」
「お腹が空くと機嫌が悪くなる」
「夕方になると、怒りっぽくなる」
このようなお悩みもよく受けています。
イライラや怒りっぽさというと、性格の問題と考えられがちです。
もちろん、心理的な要因や環境から受けるストレスが関係していることもあるでしょう。
しかし、多くの人がまだ気づいていないイライラの原因があるのです。
それが、低血糖です。
血糖の変動は、感情に大きく影響しています。
この記事の目次
血糖が下がると、身体は「戦闘モード」に入る
私たちの身体にとって、血糖を一定に保つことは非常に重要です。
特に脳は、身体全体の中でも非常に多くのエネルギーを使う臓器です。
脳の重さは体重のわずか2%ほどですが、安静時には身体全体で使われるエネルギーのおよそ20%を消費しています。
しかも脳は、ブドウ糖を重要なエネルギー源として利用しています。
そのため血糖が下がると、アドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンを分泌して、血糖を上げようとするのです。
アドレナリンが分泌されると、血糖は上がりますが、それだけではありません。
心拍数は上がり、身体は緊張し、交感神経優位な状態に入ります。
これは、いわば、「戦闘モード」に入るようなものです。
このとき、人によっては、イライラする、焦る、落ち着かない、怒りっぽくなる、攻撃的になる、といった感情の変化が現れます。
低血糖になると、脳の働きにも影響する
低血糖になると、脳そのものも、エネルギー不足の影響を受けます。
血糖が下がると、脳に十分なエネルギーが供給されなくなるため、強い眠気が襲ってきたり、ぼんやりしたり、集中力が低下します。
さらに物事を冷静に判断したり、感情を抑えたりする働きも影響を受けます。
私たちが感情に流されず、
「ここで怒る必要はない」
「少し落ち着いて考えよう」
「相手の話を聞いてみよう」
と判断できるのは、大脳皮質、特に前頭前野の働きがあるからです。
ところが低血糖になると、大脳皮質の働きにも影響が及び、理性的に考えたり、感情をコントロールしたりする力が低下してしまいます。
まとめると、低血糖のとき、
アドレナリンやノルアドレナリンによって感情は刺激される。
その一方で、それを抑えて冷静に判断する脳の働きは低下する。
ということが同時に起こります。
怒りのアクセルが踏まれている一方で、ブレーキが効きにくくなっているような状態です。
怒り始めると、ますます止まりにくくなる
アドレナリンによる興奮は、一度始まるとすぐにはおさまりません。
そのため、怒りが収まらず、いつまでも怒鳴るということがおこるのです。
さらに、自分自身の怒りの言動が、さらに興奮を強める刺激になります。
たとえば、怒り出して大声を出す。
激しい言葉を相手にぶつける。
物に当たる。
こうした行動が始まると、その行動そのものによって身体の興奮がさらに高まり、ますます止まりにくくなり、
「怒鳴ったことで、さらに腹が立ってくる」
「激しい言葉を口にしたことで、ますます興奮してくる」
といったことがおこります。
「怒りっぽい性格」ではないかもしれない
自分はよくイライラしやすい、怒りっぽいと感じていると、
「私はもともと短気な人間だ」
と思っているかもしれません。
もしかすると、そんな自分を何とかしなければいけないと感じているかもしれません。
けれども、低血糖が原因で、イライラしやすい、すぐに怒ってしまうのだとしたら、それは自分の性格ではないかもしれません。
低血糖に対する食事を見直し、血糖が安定してくると、以前ほどイライラしなくなり、徐々に穏やかになっていかれる方を多く経験しています。
「すぐ怒ってしまうのが、自分の性格だと思っていました。
でも、そうではなかったんですね」
と気づかれるのです。
食事を見直し、血糖が安定してくるにつれて、以前なら腹を立てていたようなことが、それほど気にならなくなっていくと、そこで初めて、
「怒りっぽかったのは、低血糖の症状だったのかもしれない」
と気づきます。
自分の欠点だと思い、長い間責めてきたものが、実は低血糖症状の一つだった。
そうわかると、自分自身の見方まで変わってきます。
こんな食べ方をしていませんか
低血糖というと、冷や汗やふらつき、強い空腹感をイメージされる方が多いかもしれません。
しかし実際には、疲労感や眠気、集中力の低下、不安感、焦燥感など、さまざまな症状として現れます。
特に、
朝食を抜くことが多い。
食事と食事の間隔が長い。
甘いものを頻繁に食べる。
パンや麺類だけで食事を済ませることが多い。
このような食事が続くと、血糖の変動が大きくなり、低血糖を起こしやすいです。
「夕方になると急にイライラする」
「空腹になると、機嫌が悪くなる」
という場合は、食事を振り返ってみるとよいかもしれません。
院長 野口 由美
医学博士(大阪大学)/放射線診断専門医/抗加齢医学会専門医
関西医科大学卒 関西医科大学内科、大阪大学放射線科、九州大学心療内科
日本メディカルホメオパシー学会認定医
大阪大学で医学博士を取得。
内科・心療内科・放射線科での臨床経験を重ねた後、クリニック千里の森を開設。
西洋医学に加え、分子整合栄養医学や伝統医学、補完代替医療を取り入れ、一人ひとりに最適な治療を行っている。
