発達障害と診断されて以来、心療内科をはじめ、漢方、鍼治療などさまざまな治療法を試してこられた方に、バッチフラワーレメディを用い、症状軽快した経過を紹介します。
症例紹介:ずっと外出もままならない
28歳の会社員、亮子さんが、ご両親とともに来院されました。
背の高い、非常にほっそりとした方で、今にも倒れそうな印象です。
ふわふわとした心もとない足取りで入室され、非常にゆっくりとした動作で椅子に腰掛けられました。
始終うつむいたままで、疲れきった表情です。
「体調の良くない中、よくお越しくださいました」と労をねぎらいますと、とても小さな声で、「なんとかここまでやってこれてよかった」、ぽつりとひと言つぶやかれました。
すると、お父さんが頷きながら、話されます。
「このところ、外出もままならなくて、ほとんど引きこもりのような状態だったので、今日は久しぶりの外出で…、本当に無事に到着できてよかったです」
仕事を頑張ると体調を崩す
4年前、広汎性発達障害と診断され、障害者手帳を取得されています。
2年前に現在の会社に入社し、週3日勤務していたのですが、今は、週1日、半日のみの勤務になってしまいました。
仕事をこなそうと頑張ると、すぐに体調を崩して寝込んでしまうのだそうです。
それはこのような事情からでした。
亮子さんは、他の社員さんに、ちょっとしたニュアンスを伝えることに非常に困難を感じています。
ですから、そのような説明などする必要ないように、すべてを完璧に終わらせなければならないと必死で頑張ってしまうのです。
けれども、実際には、なかなか自分の思うようには進みません。
仕事はたまっていく一方で、その量に圧倒されてしまいます。
そしてついに、本当に困った状況に陥ると、今度は、その差し迫った事情を社員さんに説明したくても、うまく話すことができなくて、感情が爆発してしまうのです。
そんなことを繰り返すうち、次第にうつ傾向となり、徐々に悪化、そしてとうとう、週1日半日勤務になってしまいました。
ご両親は心療内科や漢方、鍼治療などさまざまな治療を試されました。
体調は良くなってはいるのですが、なかなか状態は安定しません。
出勤日を増やすとすぐに倒れてしまい、結局、週1日勤務のまま何も変わりません。
会社の上司をはじめ、他の社員さんも、女性のまじめな仕事ぶりを評価してくれています。
それだけでなく、体調を気遣ってくれるなど、とても恵まれた職場なので、この職場での勤務を継続したいという強い思いがあります。
そんななか、お父様が、クリニック千里の森のウエブサイトを見て、バッチフラワーレメディが娘に合っているのではないかと感じ、家族で来院することにしたのだそうです。
ずっといじめを受けていました
「子供のころからちょっと変わった子でした」
お父様がこう言われると、亮子さんが話し始めました。
「子供のころから、言葉がうまく出てこなかったり、コミニュケーションが取れなかったりして、他の子から、仲間外れにされたりしていました。
ひどいいじめを受けたりして、とてもつらかった。
いまでも、トラウマになっています。
先生からも冷たい対応をされたりして、傷つきました。
それでも、なんとか、中学を卒業し、高卒資格を得て、大学にも入学しました。
学校では、だれからも誘ってもらえなかったりして、いつも疎外感を感じていました」
卒業後、何とか就職したものの、仕事がハードで精根尽きて退職。
次の仕事もミスが多く、他の職員とうまくいかなくて、うつになり、退職。
その後、体調も精神状態もひどくなって、さまざまな病院を受診するうち、発達障害とわかり、支援センターに通いながら、現在の会社に就職したのです。
お父様は、自分の定年退職も近づいているし、できるだけ早くに、自立してもらわなくてはという気持ちを話されました。
バッチフラワーレメディについて説明しますと、ぜひ使ってみたいとの返答です
亮子さんと二人でバッチフラワーレメディを選んでいくことになりました。
感情が爆発する
まず、スターオブベツレヘムは必要です。
小さいころ、ひどいいじめにあうなど、たくさんのつらい経験をされていて、今でも深く傷ついておられます。
二つ目に、仕事などが、思うように進まないと、怒りを感じるといわれますので、ホリーを選びました。
思うように進まなくて、いらいらするのなら、インパチエンスですが、いらいらじゃなくて、怒りだと言われます。
また、同時に、感情が爆発すると言われています。
物を投げたくなるのです。
会社では、そのまま表出するわけにはいかないので、我慢するのですが、帰宅すると爆発してしまうのだそうです。
これはチェリープラムですね。
仕事を頑張りすぎて、倒れてしまうところにはオークが必要です。
心身ともに疲れ切っておられますので、オリーブもお出しします。
一つひとつを選ぶごとに、うなずきながら、納得して、選んでいただきました。
これらのレメディを、トリートメントボトルに入れて、持ち帰っていただきます。
3週間後再診:体調改善
亮子さんは、きれいな色のワンピース姿でいらっしゃいました。
長い髪もひとつにまとめて、リボンでくくり、足元はハイヒールです。
素敵です!とてもおしゃれですね。
私の言葉に、にこにこしながら、でも首を振って「そんなことはありません」と謙遜しておられます。
「わたしにはバッチフラワーがあっているみたいです。
とても調子がよくなりました。
それで、調子に乗って、京都や奈良に遊びに行ったのですが、全然大丈夫だったんです。
びっくりしています。外出するなんて、何年振りでしょう」
ご両親も、にこにこの笑顔です。
「娘は、とても調子がいいみたいです。
以前は、よくキーってなったりして、感情の起伏が激しかったんですけど、そういうのはなくなりました。すごく落ち着いていました」
お仕事はどうなったのでしょうか?
「仕事も増やしました。
午後からの出勤ですけど、週3日にしました!」
これには、わたしもびっくりしてしまいました。
クリニックに来院されるまでに、何年もの年月が経過していますし、効果が現れるまでには月単位、もしくは年単位の時間が必要ではないかと思っていました。
来院された時の症状には、子供のころからの、さまざまな感情が積み重なって現れています。ですから、治療にもそれだけ長い時間が必要と感じたのです。
しかし、これほど短期間で、これだけの効果があがるとは…、驚きです。
今回もまた、お話をお聞きして、新たなレメディを選びます。
しばらくの間、バッチフラワーレメディを続けていくことになりました。
3週間後再診:疲れるということがわからなかった
亮子さんは、ワンピースにジャケットをはおり、颯爽と現れました。
「会社の人からも、元気になったねって言われます」
と笑顔です。
「以前に比べて、感情が大きく振れた後の戻りが速いと思います」
「それと、疲れたということがわかるようになりました。
以前は、疲れるということがわからなくて、根詰めてやりすぎて、倒れてしまっていたんです。
今は、疲れる前に、休憩をとるよう、心がけています」
「それから、朝、ちゃんと起きられるようになりました」
以前は、午前中、起きられず、午後遅くに起きてくるなどして、昼夜逆転した生活になっていたようです。
レスキューで穏やかになる
亮子さんの言葉に、ご両親ともうなずきながら、「それに、穏やかになりました」と言われます。
「以前はよくキーってなっていたのが、最近はなくなって、本当に穏やかになったと思います。
今でも時々、爆発しそうになるのですが、そういう時はすぐに、あのレスキューをシュッとすると、落ち着いてくるんです」
爆発しそうになったらすぐに、バッチフラワーレスキューレメディのスプレーを使っていただくようにお話していたのです。
「キーってなったら、ほら、あれをシュッとすれば!って、いつも言うんです。
娘は、キーってなると、わけが分からなくなって、レスキューのことも忘れてしまうみたいなので、私たちが声かけして、思い出させてあげないといけないみたいです。
レスキューのことを思い出したら、ちょっと落ち着くみたいで、そして、シュッとすると、穏やかになるんです。
娘だけでなく、私たちもとても助かっています。
爆発すると、今までは、もう、どうしたらいいのかわからなくて、嵐が過ぎ去るのを待つような状態でした」
亮子さんもうなずきながら、母親の言葉に続きます。
「部屋を片付けようと思うけど、なかなか取り掛かれない」と言われますので、今回は、バッチフラワーレメディのホームビームをお出ししました。
部屋を片付けようという意欲が出てきたことを評価しますと、
「部屋を片付けると物事がちゃんと回っていくんです」
と、きっぱり。
「部屋を片付け終えたら、きっと、仕事もプライベートも、うまく回っていくと思います」
と言われます。
そのそばで、ご両親がニコニコして聞いておられます。
これからすこしずつ、出勤時間を延ばせるよう、会社と相談しているとのことでした。
※本記事は、広汎性発達障害(1)、(2)、(3)、(4)、(5)に加筆修正を加えまとめたものです。
参考記事です。
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
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