前回までの3回にわたって、不安神経症の佳子さんに、バッチフラワーレメディとホメオパシーを用いた経過をご紹介しました。
まだお読みでない方は、 毎日、悪夢を見る、 #Me Too、 「こうあるべき」を手放す をご覧になってください。
実は、佳子さんは、バッチフラワーレメディとホメオパシー以外にも、プロバイオティクスなどの様々な治療を試しておられます。
今回は、佳子さんが効果を実感され、ずっと続けておられるアルベックスとプラズマローゲンおよび栄養療法についてまとめました。
本来ならば、前回までの経過説明のなかで紹介するべきものですが、長い経過説明の中にすべての治療法を記述すると、複雑で分かりにくくなるため、必要最低限にとどめ、経過をわかりやすく伝えることに重点をおきました。
サプリメント治療については、今回のブログにまとめましたので、その点をご了承ください。
乳酸菌生成エキスのアルベックス
佳子さんは、初診時から、「ストレスがかかると下痢しやすく、胃がキリキリする」と言われていました。
また、痔の手術後、便失禁することがあったとのことで、下痢しやすいことも相まって、さらに不安が募っています。
トイレに間に合わないといって焦る夢を見たり、焦ってトイレを探す夢を見ると言われるくらい、下痢しやすいことが負担になっているようです。
そこで、腸内環境を整える、乳酸菌生成エキスのアルベックスを勧めました。
アルベックスは、その方の腸内にすんでいるご自身の乳酸菌を増やします。
腸内細菌のバランスが整うと、下痢などの症状も軽快していきます。
不安などの精神的ストレスは腸内環境に影響を及ぼし、下痢などの胃腸症状を引き起こします。
また、下痢などの胃腸症状自体も、ストレスとなり不安を引き起こします。
そして不安は腸に影響し…といった感じで、悪循環が生まれてしまうのです。
これが腸脳相関と呼ばれる所以です。
また、腸内細菌はセロトニンやドーパミン、GABAといった脳内ホルモンの前駆体物質を作っています。
そのため、腸内細菌のバランスの乱れは脳に影響を及ぼし、精神状態にも関連しているのです。
腸内細菌のバランスが整っていると、セロトニンが増え、不安症状は軽快するなど、精神的にも安定しやすいと言えます。
腸は栄養を吸収するだけの器官ではなく、精神作用にも大きく影響しています。
その点でも、不安神経症の方にお勧めしたいサプリメントです。
佳子さんはアルベックスを試されて、「おなかの調子が整う感じがした。ぜひ続けたい」とのことで、以来、ずっと継続しておられます。
また、喘息、アトピー性皮膚炎のお孫さんにも勧められ、お孫さんもずっと続けておられるようです。
アルベックスはお子様にもお勧めです。
1回分が10mlと少量で、ほのかに酸味がある程度です。
水などに薄めて服用しますので、年齢を問わずどなたでも続けていただきやすいと思います。
認知症予防にプラズマローゲン
佳子さんは、不眠の訴えが多いです。
最初のころは、寝つきも悪く、中途覚醒もあり、朝方、焦る夢をみてすごく疲れると話されていました。
その後、焦る夢は見なくなったのですが、やっぱり夢をみると言って気にしておられます。
さらには、眠れるようになってきても、満足できる睡眠ではないということで、様々な不眠の訴えが消えることはありませんでした。
そこで、プラズマローゲンを勧めました。
プラズマローゲンは、あらゆる動物のすべての組織にみられる物質で、特に脳神経細胞に多く含まれています。
認知症など脳疲労状態では、脳内のプラズマローゲンが減少していることがわかっており、プラズマローゲンを与えると、脳疲労が改善され、神経細胞は新生し、学習記憶力が向上するという結果が得られています。
プラズマローゲンは、もともと認知症治療薬として開発されたのですが、使用されているうちに、認知症のみならず、うつや不眠症にも効果のあることがわかってきました。
実際、プラズマローゲンを摂取している方から、「睡眠途中で目が覚めることが減った」という感想をよくいただきます。
佳子さんの不安神経症の症状を聞いていますと、これは脳にとってはとても疲れる状況ではないでしょうか。
そのような脳疲労だけでなく不眠に対する効果も期待できます。
いかがでしょうと提案したところ、ぜひ試したいと即答されました。
実は、佳子さんの父親、祖父をはじめ、親戚のなかにも認知症の方が多く、自分も認知症になるのではと不安を抱えていたそうで、認知症の予防に良いものはないかとずっと探していたそうです。
不眠のみならず、認知症予防のためにも続けたいと言われ、さっそく始めていただきました。
佳子さんは、いろいろな場面で効果を感じておられるようです。
たとえば、以前はコンロの火を消し忘れることがあったのですが、忘れることはなくなりました。
もし忘れていたとしても、すぐに気が付くようになりましたし、いつも心に留めて注意するようになりました。
また、以前は、外出する際、玄関を出てすぐに、「あれ?ガスの元栓閉めたかな」と思い、心配になってもう一度玄関のカギを開けて、台所を見に行っていましたが、今は、元栓を閉めたことをしっかり覚えているので、もう一度見に行く必要は全くなくなりました。
そして、すっかりプラズマローゲンが毎日の習慣になったころ、困ったことが起きました。
ある日、夜になって、プラズマローゲンを飲み忘れていたことを思い出し、夕食後に飲みました。
すると、その日の夜、まったく寝付くことができず、だんだん目がさえてきたので、しょうがなく読みかけの分厚い本を開いたところ、ずっと集中して本を読み続け、気が付いたら夜が明けていたというのです。
実は、プラズマローゲンは夜飲むと、頭が冴えてしまい眠れなくなる方がいらっしゃいますので、朝もしくは日中にとることをお勧めします。
朝飲むと、集中力は高まり、仕事ははかどりますし、夜は熟睡することができるのですが、夜飲むと、眠れなくなることがあるようです。
それにしても、夜に摂取して、深夜から朝方まで集中して読書されていますし、プラズマローゲンの効果発現は早く、深夜であっても集中力は高まるということがよくわかるエピソードでした。
佳子さんには大変申し訳なかったのですが…。
プラズマローゲンについては、認知症にプラズマローゲン のブログでさらに詳しく説明しています。
興味をお持ちの方は、ぜひご覧になってください。
不安神経症の栄養療法
ある診察日に、佳子さんは健康診断の結果をお持ちになりました。
骨粗鬆症の疑いと言われて、ショックを受け、どうしたらいいのか尋ねようと思ったのだそうです。
骨粗鬆症に対しては、ビタミンDが重要な働きをしています。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨や歯に欠かせない栄養素です。
その他にも、免疫調整にもかかわり、花粉症の治療に必要な栄養素ですし、免疫賦活作用もあるため、ウイルス感染対策にも重要な役割を果たします。
血液検査結果を見ますと、ビタミンB群の不足が見られました。
よく口内炎ができて、食べられなくなることがあるそうで、これはビタミンB不足の症状の一つです。
また、ビタミンB群の不足は不安症状にも関連しています。
神経伝達物質を作る際、ビタミンB群が必要になるためです。
不安神経症に対しては、ナイアシンは重要な栄養素です。
神経伝達物質を作る際、ナイアシンは必須であり、ナイアシンが低下していると、不安症状やうつ、不眠などの神経症状が起こりやすくなります。
栄養療法を始めてから、口内炎で悩むことはなくなりました。
飲み忘れると、すぐ口内炎になるので、必ず取っているそうです。
また、風邪をひかなくなったと言われます。
風邪気味かなと思ったら、ビタミンDとビタミンB群を忘れずしっかりとるようにしているそうです。
症状軽快に、バッチフラワーレメディとホメオパシーの働きは大きく、佳子さんも毎回、バッチフラワーレメディを求められました。
けれども、不安症状には栄養素の不足が関連していることが多く、栄養療法の重要性も忘れてはならないと思います。
※今回の症例の経過は以下のブログにまとめています。
参考になさってください。
毎日、悪夢を見る
#Me Too
「こうあるべき」を手放す
不安神経症の栄養療法
幼少期の性被害
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
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