コロナ感染拡大の影響もあるのでしょうか。
昨年末から、不倫、別居、離婚による心身の不調を訴えるかたが増えています。
今回は、別居、離婚を求められ、動悸や息苦しさなど、さまざまな体調不良で苦しんでおられる女性のお話を紹介します。
実は、以前からモラルハラスメントを受けていたのですが、それが不倫を機にさらに悪化して、女性は精神的に追いつめられていました。
不倫したうえ、暴言を吐く夫
うつと診断、でも薬は使いたくない
亜矢さんは35歳の会社員の女性です。
夫が不倫をして、別居、離婚を求められていると言います。
頭が真っ白になり、何をどうしたらいいのか、まったく考えることができません。
そのうえ、夫からのモラルハラスメントがますますひどくなっています。
「不倫することになったのも、そもそも、おまえが悪いからだ」
「おまえはほんとうにばかだな、そんなことだから、ほかに女ができるんだよ」
などと、暴言を吐かれ、体調もおかしくなってきました。
急に動悸がして息苦しさを感じます。
普通に息することさえ困難を感じるほどです。
さらに、手足が冷たくなったり、手が震えたりするようになりました。
心療内科を受診し、うつと診断されカウンセリングを受けていたのですが、いっこうによくなる気配がありません。
薬を使いたくないので、薬を使わないでよくなる方法はないかと探され、クリニック千里の森に来院されました。
もう別居するから離婚してくれ
「たしかに、私も至らなかったところもあると思います。
昨年は、コロナの影響で在宅勤務になったりしてとても大変でした。
それなのに、夫は出張だとか言って不在だったので、
ずっとひとりで、この子を育てなくてはいけなかったんです」
亜矢さんは、二歳の女の子のお母さんです。
「夫が自宅に戻ってくると、
『ひとりで子育てするのは大変なんだよ、もっと手伝ってほしい』
って、夫に当たったりして喧嘩になっていました。
実は、いつも女性のところにいたみたいなんですね。
そのうち、ほとんど自宅には戻ってこなくなりました。
なんだか様子が変だなと思っていたら、
『ほかに女がいる。もう別居するから離婚してくれ』って言われて…。
『だいたいお前がバカだからこんなことになるんだ、全部お前のせいだからな』って言われるんです…。
別居と言われて、話し合おうとしたんですけど、完全無視です。
どんなに声をかけても、無視されています。
機嫌が悪いと、こどもに当たり散らしたりして、こどもはおびえています」
モラルハラスメント夫
もしかして、このようなことになる前から、そのようなひどいことを言われていたのではありませんか?
「あっ…、はい…、そうです。
以前から、『お前は何をやってもだめだ』とか、
『お前はバカだから、どーせできるわけがない』とかって言われていました。
わたしだけではなくて、まわりのひとのこともよく見下していました」
そのようなモラルハラスメント夫からは離れた方がいいです。
距離を置いた方がいですし、一緒にいる時間をできるだけ短くした方がいいですよ。
モラルハラスメント夫と一緒にいると、彼の言うことが実は本当かもしれないと錯覚してしまいます。
もしかしたら私はできない人なのかな?とか、
彼が言うように、バカなのかな、ちゃんと考えられないのかもしれないとかって間違った観念を植え付けられてしまいます。
専門家に相談する
亜矢さんに悪いところなんてまったくないですよ。
ただ、今は別居、離婚を突き付けられている状態ですから、今後、どのように進んでいくにせよ、亜矢さんにとって優位にことが進むよう、弁護士さんなどに相談しておいた方がいいです。
夫は不倫をしていたわけなので、証拠を集めておくなど、いろいろ準備した方がいいかもしれません。
行政にも、亜矢さんのような方が相談できる部署が設けられていますから、ぜひ相談に行ってください。
その前に、まずフリーズしてしまった気持ちをなんとかしなくてはいけませんよね。
さまざまな体調不良も改善しなくては、相談に行くこともできません。
母親から暴言を受けていた小さいころの自分を癒す
ところで、今は、ご主人からモラルハラスメントを受けているというお話でしたけれども、ご両親との関係はいかがですか。
ご両親のことはどのように感じておられますか?
「私はいつも、母の機嫌をうかがっていました。
母からもよく、『あんたに、こんなことはできない。できるわけがない。無理にきまっている』って言われていました」
ひどいですね。
そんなことを言われていた小さい亜矢さんのこと、どう感じていますか?
「かわいそう。守ってあげたいです」
それでは、小さい亜矢さんを想像してみてください。
今、どんな様子ですか?
「下を向いて、小さくなっています」
そのような小さい亜矢さんの様子をみて、どんなふうに感じていますか?
「よく我慢したねって思います」
小さい亜矢さんに何をしてあげたいですか?
「助けてあげたいです。
ぎゅっと抱きしめてあげたいです」
それでは、そのように話しかけて、抱きしめてあげてください。
今、どんな感じ?
小さい亜矢さんはどんな様子ですか?
「安心しています」
今、亜矢さん自身はどう感じていますか?
「なんだか、あたたかい感じです。
ほっとしました」
バッチフラワーレメディを選びます。
亜矢さんはバッチフラワーレメディを希望されましたので、レメディを選んでいきます。
トラウマとなるようなつらい経験をされていますので、スターオブベツレヘムは必要です。
急に泣きたくなったりするなど、激しい感情の揺れがありますので、チェリープラム。
夫に対する怒りには、ホリー。
どうして私がこんな目に合わなくてはいけないの?という気持ちにウイローを用います。
自分がダメだからではないかと自分を責める発言がありました。パインを用います。
ところでね、まりこさんは、嫌なことがあっても、それを顔にだしてはいけないと思っていませんか?
「はい、表情にだしたりしないように気を付けています」
それはとてもいいことで、他人からは、とてもいい人と見られていると思います
けれども、嫌なことがあった時、それを表情やことばであらわさないと、他人にはわからないんですね。
嫌なことを言っても、亜矢さんは気にしない人なんだなと思われて、さらに嫌なことを言われるということになりやすいのです。
職場でも、こんなことはありませんか?
人から仕事を頼まれると、自分の仕事でていっぱいでも、断ったら悪いと思って、ニコニコしながら仕事を受ける、そんなことはないですか?
亜矢さんの目から涙がこぼれ、うんうんと何度もうなずいています。
思い当たることがたくさんあったみたいです。
そうするとね、職場での亜矢さんの評価はまちがいなく高いですよ。
亜矢さんは、忙しい時も、頼まれた仕事は完璧に仕上げてくれる有能な人だとみんなに思われていると思います。
でもね、亜矢さん自身は、自分の仕事で精一杯なのに、さらに他人の仕事も抱えることになって、いっぱいいっぱいになってしまいますよね。
これは、亜矢さんのとても良いところではあるのですが、無理だと思ったらことわってもいいんですね。
『今ね、とてもいそがしくて手一杯なの。ごめんなさいね』って言えば、みんな、わかってくれます。
それにね、亜矢さんが本当に困ったときは、だれかに助けを求めてもいいんですよ。
ひとりで抱えていて、どうしようもなくつらくなったら、助けてほしいって言ってもいいんです。
感じたことを表情にあらわさないようにしたり、
思ったことを口にしたりしないようにしているところには、
アグリモニーとセントーリーを用います。
意見を言った方がいい時には、上手に話ができるように助けてくれます。
これらのレメディを用いてバッチフラワーレメディのトリートメントボトルを作ります。
もし、急に悲しくなったり、つらくなったりしたときには、バッチフラワーレメディのレスキュースプレーを使っていただいてもいいですね。
ホメオパシーを選びます。
夫だけでなく、親からもモラルハラスメントに合っておられますし、
さらに、今回は別居、離婚をつきつけられるなど、ひどいトラウマを経験されています。
ホメオパシーのスタフィスグリアをお出しします。
1か月後に再診にいらっしゃたときの様子は、また次回お話しします。
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
- 診療内容:
- 症状: