前回、夫が不倫をしたうえ、別居、離婚を突き付けてきたという亜矢さんのお話を紹介しました。
今回は、その続きで、再診のときのお話です。
ご自身の体調はよくなってこられたのですが、子供の様子が心配ですと相談に見えました。
母娘で再診
初診から一ヶ月経ち、亜矢さんからメールが届きました。
「前回診察を受けてからは、動悸や息苦しさはなくなりました。
でも急に悲しくなって、涙がこぼれることがあります。
それから、娘が急に泣きそうな声で私にぴったりくっついて離れないことがあり、不安な様子です。
一緒に診ていただけないでしょうか?」
再診では、娘さんと一緒にお越しいただくことになりました。
夫はいない方が楽です。
前回からいかがですか?
「はい、とても楽になりました。
動機や息苦しさもなくなって、手の震えもなくなりました。
バッチフラワーとホメオパシーをはじめて一週間くらいしたころから、急に動きたくなってきたんです。
それで、『そうだ、相談に行こう!』って思って、弁護士相談に三件くらい行きました」
えっー!すごいですね。
「はい、もう夫のことはどうでもいいし、いないほうが気が楽だって思うようになりました。
職場の人に相談したら、住むところは公団という方法もあるって教えてくれました。
私はまったく知らなかったので、いろいろ探してみようと思っています。
今までは、職場の人にプライベートなことを話したり、相談したりすることはなかったので、
今回、職場の人に話すことになっていろいろ情報をもらって、
これもバッチフラワーのおかげかなと思っています」
そうですね。そうかもしれませんね。助けになったのかも。
前回お選びしたセントーリーを用いることで、
自分の意見を発言することができるようになりますし、
意見をしながら、周りのひととも上手に交流できるようになります。
また、他人の意見に左右されることなく、自分の道を選択することもできますね。
趣味も楽しくできています。
「それから、趣味とか好きなことも楽しいと思えるようになりました。
私はマンガが好きなんですけど、
調子悪かったときは、読んでも頭に入ってこないし、ぜんぜんおもしろいと思えなくて、読むのをやめてしまいました。
でも、最近は、マンガやっぱり楽しいなぁって思って、また、読み始めています」
よかったです。私もうれしいです。
娘の様子が変です。
娘さんの不安が強くなったとメールに書かれていましたが…。
「はい、そうなんです。
娘がね、急に泣きそうな、悲しそうな、甘えるような声で、私にピタってくっついて、『ママがいい!』って叫ぶんですよ。
いつもは、お母さんっていうのに、急に、ママって言うので、ん?どうしたのかなって…。
それに、ママがいいってなにかな?って思って…、私も不安になっています」
そういう時は、どうしているのですか?
「抱きしめます。
そうしたら、しばらくすると、すぐに普通にもどるんです」
「娘は眠りも浅いみたいで…。
夜は、一緒に寝ないと寝ませんし、
寝たなと思って私が布団から起き上がると、娘はすぐに目を覚まして起きてしまうんです。
小さい時は、ほとんど夜泣きしない子だったんですけど、最近は夜泣きするようになりました。
それに、夢の中で、『おとうさん、こっち来ないで』って叫んでることがあって、なんか、ぞっとしました。
私が仕事の時、夫が家でこどもを見てくれているときがあるのですが、なにかあったのかなって、気を付けないといけないなって思いました。
それに、以前は大好きだったお絵かきもしなくなりました」
お父さんとお母さんの様子がなにか変だって感じているのでしょうか。
「娘には何も話していないのですが、感じているかもしれません。」
離婚して実家に戻る?
「実は、夫は『もうおれは出ていくから』と言って、数日前に家を出ていきました」
えっ!…、そうなんですね。
「それで、子供を預けられないときは、仕事をどうしたらいいんだろうって本当に困ってしまって。
これからは、仕事はセーブしなければいけないと思って、上司に相談しました。
そしたら、このまま仕事を続けてほしいから、こどもを預けられないときは、勤務を外すなど、都合に合わせるようにするよって言っていただきました。
もう仕事はやめないといけないと思っていたので、続けられることになってほんとうによかったです。
職場の人にも話すことになって、そしたら、いろいろ相談に乗ってもらえました」
大変な状況なのですが、前回と異なり、冷静に対処しておられます。
もともと、このように冷静に対応できる方だったのだと思います。
「ただ、わたしひとりで、小さいこどもの面倒を見ながら、今の仕事を続けていけるとは思えなくて、とても不安です。
それで、実家に戻って、新しい仕事を見つけようなかと思っています。
親や兄弟にこどもをみてもらった方がいいだろうと思うんです」
実家に戻るかどうかはすぐに決めないで、慎重に考えたほうがいいかもしれませんよ。
幼いころ、お母さんからひどいことを言われたと話されていましたよね。
お母さんの機嫌をいつもうかがっていたとも言われていました。
離婚して実家に戻ってきた娘を、やさしく迎えて、これからを応援してくれるような親なのでしたら、実家に戻るという選択肢もあるでしょう。
でも、こどもに暴言を吐くような親ですから、傷ついている娘をさらに追いやるようなひどいことを言ってくるということはないでしょうか。
以前、来院された患者様の話なのですが、離婚して実家に帰ったところ、
『近所の目があるから帰ってくるな』
とか、
『離婚など家の恥だ』
などと言い放たれて、よりいっそう傷ついたと話されているかたもいらっしゃいました。
実家に戻るかどうかは、慎重に考えてくださいね。
いきなり今の仕事を辞めて、実家に戻るのではなく、親に少し話してみて、反応を見てから考えた方がいいと思います。
バッチフラワーレメディを選びます。
亜矢さんに、バッチフラワーレメディを選びます。
トラウマに対するスターオブベツレヘムは必要かなと思います。
急に泣きたくなったりするなど、激しい感情の揺れがありますので、チェリープラム。
どうして私がこんな目に合わなくてはいけないの?という気持ちはまだあるということなので、ウイローも続けましょう。
夫に対する怒りはもうあまりないということなので、ホリーは必要ないかなと思います。
もう自分を責めたりすることはないので、パインも必要ないですね。
前回、感じたことを表情にあらわさないようにしたり、思ったことを口にしたりしないようにしているところに、アグリモニーとセントーリーをお出ししました。
「職場の人に自分のことを話したことはなかったのですが、話せるようになったのは、バッチフラワーレメディのおかげかなって思いました。
それに、弁護士相談に三件も行ったのも、以前だと、なかなかできなかったことではないかと思います」
そうですね。これらはそのまま続けましょう。
意見を言った方がいい時には、上手に話ができるように助けてくれます。
それから、これからの仕事のこと、住居のこと、お金のことなど具体的な不安がでてきていますので、ミムラスも使った方がいいですね。
何が不安というわけではないけど、急にざわざわして不安になることはありますか?
何が不安かわからないけど、不安に感じているときは、アスペンを用います。
それでは、これらのレメディを用いてバッチフラワーレメディのトリートメントボトルを作ります。
ホメオパシーを選びます。
亜矢さんのホメオパシーを選びましょう。
前回は、ひどいトラウマに対してスタフィスアグリアをお出ししました。
トラウマが癒されつつある今、急に悲しくなって涙がこぼれると言われます。
私は亜矢さんとのいままでの会話から、Nat. Mur.を選びました。
Nat. Mur.は悲しみのレメディです。
私は亜矢さんとお話ししながら、亜矢さんの情愛深さや、傷つきやすい感性を感じました。
また、人の世話をするのがお好きなのかなとか、
多くの人といるよりは特定の大好きな人と一緒にいたい方なのかなと感じています。
亜矢さんはうんうんとうなずきながら聞いておられます。
人に泣いているところを見られるのはいやではないですか?慰められるのはいやとか、ありませんか?
「いやです」
Nat. Mur.は人に慰められたりするのがいやな人のレメディです。
人前で涙を見られるなんてとても耐えられません。
亜矢さんにはNat. Mur.を選びました。
次に、娘さんです。
娘さんは、急に不安そうな様子になり、眠りも浅く、好きだったことに興味を示さなくなってしまいました。
ご両親から直接、両親が別居するかもしれないことなどは聞いていないということですが、なんとなく肌で感じているのかもしれませんね。
娘さんにしてみれば、事情がよく分からないので、よりいっそう不安に感じるかもしれません。
これから自分はどうなるのだろう、などなど怖くなって、もしかすると恐怖を感じているのかもしれません。
突然の恐れ、もしくは恐怖、不安を感じているととらえ、Aconiteを選びました。
また、急に不安そうになったり、悲しそうにお母さんにピタっとくっついてくるときには、お持ちのレスキュースプレーを使ってもいいと思います。
眠る前にも使ってもいいですね。
母から離婚を責められる
一か月後です。
「娘は、ホメオパシーをとってから、だいすきなお絵描きをまたはじめました。
夜中に何度も目が覚めたり、夜泣きすることもなくなり、以前の娘に戻ったようです。
お父さんがいなくなったので、さみしいと感じているかもしれませんが、しばらく様子をみようと思っています。
私は、前回、相談してから、さらに頭の整理ができました。
今は、気持ちも落ち着いています。
実は、実家の母に夫の不倫や離婚のことを話したのですが、『おまえが悪いからだ』と責められました」
えっー⁈そもそも、ご主人の不倫があってのことですし、離婚を切り出しているのはご主人のほうなのに…。
「そうなんですよ。
でも、『お前が悪い。こどものために我慢しろ』の一点張りで、実家にもどるのはやめることにしました。
今は、こどもとふたりで住めるところを探して、引っ越そうと思っています。
将来的には、時間の都合がつきやすい仕事に転職しようと勉強を始めました」
将来に向けて、前進されているご様子に、とてもうれしくなりました。
亜矢さんと娘さんのこと、こころから応援しています。
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
- 診療内容:
- 症状: