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毒親育ちさんは不安を感じやすい

クリニックには、日常のさまざまなできごとに対して不安を感じ、
その不安が積み重なって、つらくてたまらないと来院される方が多くいらっしゃいます。

お話を聞いていると、その不安は、ご両親との関係性にあるのではないかと感じることが少なくありません。

ご両親についてうかがってみると、
子供の気持ちをくんであげるような親ではなく、
うまくいかないことを子供の責任にし、
親が問題解決することを放棄していたりします。

こどもだから、うまくできない、解決できないのはあたりまえなのですが、
うまくできなかったことを背負って大きくなると、
大人になっても自信を持てなかったり、
自分がダメなんじゃないかと思ってしまいます。

すると、なにかあるたびに不安を感じてしまうのです。

お医者さんの不安

いらっしゃったのは、40代の女性のお医者さんです。

彼女のお父さんは開業医、お母さんは主婦です。

「今まで、両親のことをおかしいと感じていて、その影響を排除しようといろいろ試してきました。

ところが、最近、幼少時のさまざまなできごとを思い出し、どうしようもなくつらく、なんとかできないかと悩んでいます。

また、毎日のさまざまな予定をうまくこなせるのか、不安で不安で仕方ありません。

学会発表のことで不安を感じているのなら、それはしかたのないことですが、
仲の良い友達と会う予定ですら、ちゃんと行けるかしら、楽しく過ごせるかしらと不安を感じ、緊張します。

旅行ともなると、楽しみなのに、さらに不安が増し、数週間前から緊張してしまいます」

そんなことが毎日続くと、これはちょっとつらいですよね。

そのうえ仕事上の緊張も抱えているわけですから。

からだも緊張して疲れていませんか?

「そうなんです。
肩こり、腰痛にはずっと悩まされています」

毒親のエピソード

ご両親がおかしいと感じているとのことですが、そのことをあらわすようなエピソードがあれば教えていただけますか。

「小学校低学年だったと思います。

私の家では、誕生日に家族みんなでケーキを囲んでお祝いする習慣がありました。

その誕生日ケーキを前にして、父が上機嫌で言ったんです。

『お前は大きくなったらなにになるんだ?』と。

そのとき、私はなんと答えたら百点なのか、よくわかっていました。

満面の笑顔をつくって、『わたし、おとうさんみたいなお医者さんになりたい!』と言えば百点です。

でも、わたしは自信がありませんでした。

その当時、自分が将来、医師になるなんて、想像もつかなかったんです。

人の命を預かる仕事なんて、私にできるんだろうか、って思っていました。

それに、自分は医学部に入れるような成績のいい子供とは思っていなかったってこともあります。

自分が自信をもって医者になるって思っているなら、医者になるって言ってもいいと思うけど、医者になる自信がなかったわけでしょ、
それなら、できる、なれるって思っていないことを、へらへらして言うべきではないって思っていました。

それに、今日は、お父さんの誕生日じゃなくて、私の誕生日なんだし、好きなことを言っていいはず。

お父さんが喜ぶようなことを言うんじゃなくて、自分が口にしても抵抗のないことを言っていいはずだって思いました。

そもそも、大きくなってなにになるかなんて、よくわからなかったわけです。

それで、その当時、ピアノを習っていたので、
『うーん、よくわからないけど、ピアノの先生かなぁ?』
って、言いました。

そしたら、父親の表情がみるみる曇って、すごくこわい顔つきになって、大きな声で怒鳴ったんです。

『ピアノの先生じゃぁ、金にならんな!
医者になるって言いなさい!』

私はなんだかよくわからないけど、すごく怒られてしまい、悲しいのと、
自分の誕生日なのに、なんかひどい…、ってなって…。

そのときの、幼い私がかわいそうで、今思い出しても、胸が苦しくなります。

それに、ピアノの先生のことをばかにしてる感じなのも、なんだかひどいと思いました。

なんかよくわからないけど、お父さんの考え方って、人としてひどいんじゃないかと思ったわけです。

子供の誕生日のお祝いの席で、
『ピアノの先生じゃあ金にならん』って怒鳴るって、どうかしてますよね」

ほんとうですね。

ひどいですよね。

そのようなお父さんに対して、まだ小さいのに、自分らしさを失わないようにと、まじめに考えて、果敢に発言しているところが、立派ですよね。

そのとき、お母さんはなにか言ってくださったんですか?

なにか、場を収めるようなこととか、
あなたに対して、大丈夫よとか、
なにかありましたか?

「母は私をかばってはくれませんでした。

それどころか、
『あんたは、自分で、自分の誕生日をだめにした。
自分の責任だ』
って責められました」

あぁ、なんか、ひどいですね。

これは子供の責任ではないですよね。

彼女の父親は、
『これはこどもの誕生日だから、こころからお祝いしてあげよう』
とは思っていません。

こどもの誕生日だろうと、何だろうと、
こどもは、自分の気分をよくしてくれるもの、機嫌を損ねないようにするべきものだと思っています。

もし、父親の気分を損ねるようなことがあれば、即効、罰せられるべき、ぐらいに思っているのです。

また、母親のほうも、
『父親の機嫌をそこねるようなことをしてくれて、何をしてくれるんだ、この子は』、
ぐらいな勢いです。

母親の思考の中に、
『せっかくの子供の誕生日なのに、かわいそうなことをした』
という気持ちはみじんも感じられません。

「先生の言われる通りです。

その時の母親は、
『この後、父親の機嫌をなだめるのは私なのよ。
父親の機嫌をとるのは大変なのよ。
なんてことしてくれるのよ!』
って思っていたと思います。

というのも、いつも、父親の機嫌を損ねるようなことをするなと厳しく言われていたからです」

毒親の機嫌を取らなくてはならない

「父親は、気に入らないことがあると、すごく怖い顔をしてどなりちらしていました。

仕事でいやなことがあったら、家で機嫌悪くして、ものを蹴っ飛ばしたりして、家の者は、自分の機嫌を取るものだって思ってたような気がします。

子供の時はそれが毎日のことだから、普通のことだと思って、特に変なことだとは思っていませんでした。

そういえば、手術の日は、とくに、言動に気を付けなければいけなかったんです。

『今日は手術があるのに、いらだたせるようなことをして、なんだおまえは!』
って怒鳴られたことがあります。

母親も、『今日はお父さんは手術があるから、静かにしていなさい』って言ってました。

でもね、自分が医者になって思ったんですけど、手術の前だって、病院だといろんなことが起こるじゃないですか。

手術の前だからって、みんなが気を使ってくれるわけじゃないですよね。

今、自分が医者になってみて、あの、『術前はとくに父親の機嫌に注意しろ』っていうのは何だったんだろうって思います。

この話を医者じゃない友達にしたら、
『そんな、手術前に、機嫌を取らなくちゃいけないような医師に手術なんてしてもらいたくないわ』
って言ってて、その通りだなって、笑えました。

でも、その当時は、お父さんは今日手術があるからって、家じゅうがピリピリして、気を使って、しずかぁにしていました。

今思うとばかみたいです」

毒親に訴えるとさらに傷つく

「両親にわかってほしくて、訴えたことがあるんです。

こんなことしてひどい、私はひどく傷ついたんだって話したことがあるんですけど、
『覚えていない』って言われるか、
『それはお前が悪いからだ』って言われるかどっちかで、
余計に腹が立ったので、もう二度と話さないって誓ったんですよね」

大人になってから、幼少時のできごとを話して、あれはひどいと責めたところで、だいたい親の方は、都合よく忘れてしまっています。

もし、覚えていたとしても、
『それは、あなたが悪かったからで、あなたがうまくやっていればそんなことにはならなかった』
と言われてしまい、さらに傷つくことになりかねません。

けれども、そうなったとしても、親と理解しあおうと、勇気をだして話したことは無駄ではありません。

自分の気持ちを話すことは大切なことです。

ただ、残念なことに、毒親は、年齢を重ねても、こどもの気持ちを汲み取ることはできません。

毒親にしてみると、ただただ、昔のことをもちだして、文句言ってるくらいにしかうけとめられないのです。

毒親のことを話すとき

両親についての嫌な思い出は、信頼できる人に話したり、書き出したりして、吐き出しましょう。

からだから、心から出していくことで、様々な事柄が整理されてきます。

整理され、落ち着いてきたら、そこから、からだも心も再構築していくことができます。

ここで注意したいのは、誰に話すかということです。

毒親エピソードを友人に話すと、
「あなた、ここまで育ててもらって、親に文句言うなんて間違っている」
「大学にまで通わせてもらっているのに、親に文句言うなんて間違っている」
といった感じで、諭されたり、反省を促されたりして、逆に傷つくことがあるからです。

だれにでも話していいわけじゃないところが難しいところです。

クリニックに相談にいらっしゃる方はみなさん、
「友達に話すようなことではないので、専門の方に話を聞いてもらいたいと思い、自分に合ったところはないかとずっと探しました」
と言われていました。

ご自分に合った医療機関やカウンセラーなどを見つけていただくのがいいかもしれません。

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※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。

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