アンチエイジング医学の目的は若返りか

勤務先の病院でささやかれていた噂話です。

「野口さん(私のことです)は抗加齢医学会に入っているらしい」
「えー!抗加齢医学?!何のため?」

「抗加齢医学会の専門医を取ったらしいよ」
「専門医?…、なに目指してる?…美魔女?」

違いますから!!(怒)

誤解していただきたくないのですが、美魔女を否定しているわけではないんですよ。
美しい女性が増えるのは、絶対にいいことです。

見た目が若い方は、血管年齢も若いなど、見た目と身体年齢の相関性は認められています。
でも、若く見られるために、どうすればいいのかということは、抗加齢医学の真の目的ではありません。

1) 抗加齢医学にたいする誤解
2) 抗加齢医学が目指すもの
a)健康長寿
b)医療費削減
c)ホリスティック医学
3) 診療にも取り入れる

1)抗加齢医学にたいする誤解

アンチエイジング医学、抗加齢医学というと、若返りや美容のことと考える人は少なくありません。
冒頭の会話のように、勘違いしている医師がいるのも事実です。

嘆かわしいことですが、仕方のないことかもしれないと思っています。
というのも、恥ずかしながら、私も学会に入会するまで、誤解していたからです。

抗加齢医学って、美容皮膚科中心の学会なのかな?
若く見えることに重きをおいているんでしょ。

若々しくみせるための医学は、私が目指しているものではないし、必要ないと思っていました。

ところが、抗加齢医学会総会に参加してみて、私の考えは全くの間違いであることに気がつきました。

抗加齢医学会には、ほとんどすべての科が参加しています。
美容皮膚科が中心ということはありません。

そして、医師をはじめとする医療従事者だけでなく、様々な科学者が参加し、非常に科学的に、抗加齢という問題に取り組んでいます。

また、若返りや若見えについて研究している、というのも正確な表現ではありません。

2) 抗加齢医学が目指すもの

a)健康長寿

抗加齢医学、アンチエイジング医学が目指しているのは、いつまでも健康に年齢を重ねることです。

元気で長生きするために必要なものはなにかという問題に、科学的に取り組んでいます。

そして得られた科学的根拠に基づいて、実際に何をどうしたらいいのかという実践に重きを置いています。

実践ですから、だれもが簡単に、毎日の生活に取り入れることのできる方法でなければなりません。

それはたとえば、栄養などの補充療法や、運動や休養などの生活習慣改善などを指しています。

b)医療費削減

今までのような、病気になったら国民皆保険で守るという体制では費用がかかりすぎ、健康保険は破綻の危機に直面しています。

そこで、現在、医療の流れは予防医学へと大きくシフトしようとしています。

抗加齢医学は、加齢という観点に焦点を当てた予防医学です。

だれもが、いつまでも元気に年齢を重ねることができれば、現在問題となっている医療費削減にもつながるでしょう。

抗加齢医学会は真剣に、医療費削減問題に取り組んでいます。

c)ホリスティック医学

これまでの医学が、病気別、臓器別の縦割り医学だったのに対し、抗加齢医学では、この縦割りの障壁を取り除きました。

病気だけを見る、臓器だけをみるという視点ではなく、個人を身体と精神をもった全体としてみる、ホリスティックな視点に立っています。

このような視点で研究をおこなう抗加齢医学は、統合医療を行うクリニックにとって、賛同したい医療の形です。

3) 診療にも取り入れる

今までご紹介してきましたように、抗加齢医学は日常生活で実践可能な医学ですから、アンチエイジングドックだけでなく、日常診療で、大いに役立てることができるでしょう。

クリニック千里の森でも、抗加齢医学の研究成果や実践法を診療に取り入れ、わかりやすくお伝えしています。