夏の暑さで、急に料理が面倒になり、まともな食事をしなくなったところ、急に老け込んでしまったお母さんを心配して、母娘で来院されました。
スーパーの出来合いの総菜や、パンばかり食べていたところ、ぼーっとするようになり、認知症が心配というご相談です。
実は、食事の改善をしたところ、ずいぶん体調がよくなってきていたとのこと。
食事と、体調や認知機能との関係性がよく理解できるお話しをお聞きすることができましたので、ここで紹介させていただきます。
食べなくなったら、急に老け込んでしまいました
83歳の女性、正子さんが、娘さんと来院されました。
正子さんは、30歳の時、ご主人を亡くされ、以来、ご主人の後を継いで、会社社長をつとめておられます。
そして、二人の子供を育てあげ、現在も現役でお仕事されているといいます。
「8月くらいから、なんだか急に老けた感じになったんですよ。
まぁ、実際、おばあさんなんですけどね。
それまでは、年齢のわりに結構しっかりしていると思っていたので、急にどうしたん?ってとても心配になりました」
娘さんが話し始めました。
「それまでは、曲がりなりにも社長なんだから、しっかりせなあかんという感じでした。
本人もそう思っていたと思います。
それが、8月くらいから、急におかしくなって。
電話しても、返答もなんだかあやしいし、
電話かけるたびに、どんどんひどくなっていってる感じで、
心配になって10月ごろ実家に戻ったんですね。
そしたら、なんだかげっそり痩せてて、猫背になって、ゆっくりしか歩かれへんし…。
おかあさんがおばあさんになってるって思いました。
なんかずっとぼーっとしているんですよ。
そんな姿を見ると、これはどうにかしないと、どんどんひどくなるんじゃないかと心配になりました」
「そうです。
娘の言う通りです。
あんときはしんどかった。
暑かったしな。
なんにもする気になれんかった。
ご飯をあんまり食べなくなったんですよ。
自分で作るのが面倒になってしまって。
簡単なものしか作らなくなったんです。
そしたら、急に老けこんでしまいました」
「それで、これはいかんと思って、お手伝いさんに来てもらうことにしたんです。
掃除、洗濯から食事まで、やってもらうようにお願いしました。
そしたら、徐々に、よくなってきました」
食事をつくらなくなって、パンばかり食べる
食事を作っていなかったときは、どんな食事内容だったのですか。
「朝は食べないか、もしくはコーヒーとパンですね。
昼はうどんとかそうめん。パンも多いな。
とにかくね、私はね、ごはんは栄養がないって聞いてるから、パンがいいって信じてますねん」
「母は戦争を経験した人なので、
小麦の方がいい、米はダメだ、という教育を受けているみたいです。
戦後を経験している人の中には、『米は栄養がない』って思っている人、多いみたいです。
そんなことないよって言うんですけどね…」
娘さんのおっしゃる通りですね。
ご飯よりパンの方がいいってことはないですよね。
小麦製品は認知機能低下に関係していると言われていて、控えてほしい食品です。
実際、パンやうどんばかり食べていた方に、小麦製品を控えてごはんに変えていただくだけで、なんだかしっかりしてきました、ということをよくお聞きしています。
小麦製品は消化しにくく、未消化のものが体内に入り、炎症を引き起こします。
脳内に入れば、脳内に炎症をおこし認知機能を低下させるでしょう。
また、小麦の未消化物質は腸管を傷つけます。
すると、消化吸収できなくなり、ビタミン、ミネラルの吸収が低下してしまいます。
認知機能向上のためにも、パンやうどん、ラーメンは控えましょう。
パンばかり食べてしまうのは、体力が低下しているからかも
パンばかり食べてしまうときは、パンしか食べられないようなからだ、体調になっているということかもしれません。
噛む必要のある食べ物を食べるときは、噛む力やエネルギーが必要です。
体力が低下しているときは、噛むエネルギーも不足していますから、かまないでたべられる、パンのような柔らかいものを好んで選んでしまうということになりがちです。
また、肉のように消化に時間のかかるものは、消化酵素が必要です。
消化酵素を作るには、タンパク質が必要なのですが、食べていなければタンパク質も枯渇しているでしょう。
そうなると、消化酵素を作れませんから、なんとなく、からだは消化しにくいものを避けてしまうということになりがちです。
体力のない方には、お味噌汁やボーンブロスをお勧めしています。
お味噌汁は魚や昆布から出汁を取りますね。
この出汁から良質なアミノ酸をとることができます。
ボーンブロスは、骨や肉からでた良質なアミノ酸をとることができます。
スープだと体力がなくてもとりやすいので、おすすめです。
「お味噌汁もいいんだったら、簡単だし、毎日、摂るようにしたらいいんじゃない。
ボーンブロスも作ってもらうようにお手伝いさんに言ってみます」
夜、ひとりでいるのが怖い
お手伝いさんにお食事を作っていただくようになってからは、体調もいいのですか?
「それがね、体調はよくなったんですけど、毎日、夜中に目が覚めて、寝た気がしないんです。
それに、夜はひとりで寝るのがこわくて、だれかといっしょでないと不安で不安で仕方ありません。
昼間は、仕事もしているし、平気なのですが、
夜になって暗くなると、一人でいるのが怖いんです。
誰かがそばにいてくれないと、不安で、眠れません。
でも睡眠薬はこわくて、飲みたくありません」
「そしたら、CBDオイルがいいって話を聞いたんです。
認知症にも効果があるって聞いて、母にいいんじゃないかって思ったんですね。
母も使ってみたいっていうので相談してみようと思いました」
不安というのは、具体的には、どんなことを不安に感じているのですか?
「体調良くなかったときに、めまいや耳鳴りですごく悩んだんですよ。
いろいろな病院を受診しました。
でも、原因はわからないし、ちっともよくならないし。
立ち上がれないで寝込んでしまうことが続いて、ひとりぐらしが怖くなってしまったんです。
それ以来、寝るときひとりだと不安でしかたないんです。
11月くらいにはめまいはなくなったのですが、またあんなことになったらどうしようって思ってしまいます」
「お手伝いさんが来てくれて、食事をちゃんととるようになってから、めまいはなくなったのかな?」
「あぁ、そうかもしれんなぁ」
CBDオイルは、不安、うつ、不眠によく用いられています。
不安や不眠でお悩みですし、CBDオイルは認知症に対しても用いられていますから、試してみていただくといいかと思います。
CBDオイルについては、下記に詳しく解説しています。
参考になさってください。
ビタミン、ミネラル不足は不安を感じる原因のひとつ
もってきていただいた血液検査を見させていただきますと、
タンパク代謝低下、ビタミン、ミネラル低下が読み取れます。
タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足していると、セロトニンなどの神経伝達物質を作ることができません。
そのため、不安を感じやすいということはあるかもしれません。
食事を作ることができないと、ビタミン、ミネラル豊富な、「まごはやさしい」食材も取りにくくなります。
一方、出来合いの食べ物だと、ビタミン、ミネラルはかなり低下してしまっていて、ほとんど期待できないんです。
「やっぱり食事は大事なんですね。
お手伝いさんに食事を作ってもらうようになってから、ずいぶん様子が変わったんですよ。
どーしよーかってくらいおばあさんだったのが、ちゃんと背筋伸ばして歩けるようになりましたし。
やっぱり食事が原因だったんですね。
食事との関係をいろいろきくことができてとてもよかったです。
パンをやめてごはんにしてもらうよう、お手伝いさんにも言っておきます。
CBDオイルもぜひ試してみようと思います」
※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。
- 診療内容:
- 症状:
関連トピックス
CBDオイル使用前に知っておきたい6つのこと
CBDオイルの効果を最大限に生かすため、知っておきたい6つの点をまとめました。適量の見つけ方、使用方法から、お薬の飲み合わせ、CBDオイルの選び方にいたるまで、CBDオイルの解説を加えながら、説明しています。
CBDオイルが用いられるさまざまな症状
CBDオイルの適応疾患は多岐にわたります。よく用いられる不眠、不安、うつのほか、疼痛、てんかん、がん、片頭痛があげられます。そのほか、関節炎、多発性硬化症、皮膚疾患、自閉症スペクトラム、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫疾患などさまざまな疾患に用いられています。
CBDオイルのことがもっとよくわかる大麻の話
ひとは体内で、カンナビノイドを合成分解するエンドカンナビノイドシステム(ECS)を持っています。ECSは病気や老化を防ぐなど、体内で重要な働きを担っています。今回は、毎日の生活に取り入れられる、ECSを高める四つの習慣を紹介します。
CBDオイル
CBDオイルは、大麻草の茎と種から抽出されるCBD(カンナビジオール)を主としたヘンプオイルです。癌、てんかん、認知症、自閉症、うつ病、炎症性腸疾患、疼痛、自己免疫疾患などのさまざまな疾患から、原因不明の症状に対して幅広く用いられています。今回はCBDオイルについて、作用機序も含めて解説します。