先月末、日本抗加齢医学会講習会に出席しました。
そのなかで、印象に残った、旭川医科大学、松本成史先生の「快尿のすすめ」を紹介します。
膀胱は本来、風船のように、やわらかく伸び縮みして、
たくさんの尿をためたり、出したりしています。
ところが、年とともに、持ち前の柔らかさが少しずつ失われ、
頻尿や尿漏れ、残尿感など、様々な症状を引き起こします。
それではどうして、年とともに膀胱壁は硬くなるのでしょう?
高血圧、高脂血症などで、
全身の血管に動脈硬化性変化がおこることは、よく知られています。
膀胱壁の血管にも、全身の血管と同様に、動脈硬化性変化がおこります。
すると、膀胱の血流は低下し、膀胱壁は硬くなり、膀胱機能が低下してしまうのです。
こうなりますと、尿が少したまるだけでトイレに行きたくなり、
排尿しても膀胱がしっかり収縮できないので、
残尿感や頻尿に悩まされるというわけです。
膀胱壁の血管は細いため、動脈硬化による影響が、全身の血管に比べて、
より早期にあらわれやすいのではないかとも言われています。
この動脈硬化による血流の低下を改善することが、
頻尿を治すポイントなのです。
これはすなわち、生活習慣の改善、
つまり、食事の見直しと運動にほかなりません!
そこで、旭川では、高齢者向けの運動教室を開き、
簡単な筋力をつける運動、バランス運動や柔軟体操をおこないました。
すると、教室に参加した方の、
頻尿、残尿感、尿意切迫感などの症状が
有意に改善された、という結果が得られたのです。
この「筋肉ちょきんクラブ」という運動教室は、
NHK「ガッテン!」にも取り上げられました。
運動されている様子をみますと、
だれでもできるとても簡単な運動で、
皆さんとても楽しそうです。
参加者の方も、
「こんな簡単な運動を続けるだけで、症状がよくなるなんてびっくり」
と話されていました。
松本先生は、頻尿を「歳のせい」だとしてあきらめるのではなく、
食事、運動など生活習慣の改善を提案されています。
これは、とりもなおさず、生活習慣病の予防や改善にもつながっていて、
「快尿のすすめ」は抗加齢医学そのものです。
ちなみに、この、「快尿」という言葉は、
松本先生がつくられた言葉なのだそうです。
NHKの「ガッテン!」のタイトルに、「快尿!」という言葉が使われていて、
うれしかったと話されていました。
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