前回、不安神経症の方にプラズマローゲンを提案した話を紹介しました。
「認知症ではプラズマローゲンが減少している」とか、
「認知症の方にプラズマローゲンがお勧め」
など簡単にお話ししたのですが、
「そもそもプラズマローゲンって何?」、
「プラズマローゲンは商品名もプラズマローゲンなの?」
などなど、困惑された方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、プラズマローゲンについて詳しくお話ししようと思います。
プラズマローゲンについて初めて説明を聞いたのは、B&Sコーポレーションの担当者からでした。
B&Sコーポレーションは、ブログでもよくお話していますアルベックスを製造販売している会社です。
プラズマローゲンを開発されたのは、九州大学の藤野武彦先生と聞き、懐かしさでいっぱいになりました。
プラズマローゲンの説明にも関係することなので、藤野先生の紹介から始めようと思います。
藤野武彦先生のBOOCSダイエット
私が九州大学心療内科に在籍していたときのことです。
藤野先生をお招きして勉強会が催され、BOOCSダイエットの講義を聞く機会がありました。
BOOCSダイエットとは、「1日1回、心の底から満足できる食事を、心ゆくまで楽しみましょう」というものです。
「自分がおいしいと思うもの」の中から、「健康に良い物」を、「好きなだけ」、「ゆったりと」、「楽しんで食事する」、「一日一快食」が基本となっています。
なんだか、素敵ですよね。
「好きなものを好きなだけ食べて、脳にストレスを与えないこと」、これが最も重要なポイントというお話には、心から同意したい気持ちの一方で、ほんとかな?ほんとうに減量できるの?という真逆の気持ちが同時に起こりました。
ところがその後、心療内科医局内でBOOCSダイエットが大流行し、少々体重オーバー気味のスタッフがみるみる減量に成功する様子を目のあたりにし、疑う余地はありませんでした。
私には、BOOCS理論の斬新さと、ユニークな考え方がとても印象に残りました。
それだけでなく、藤野先生の講演の様子も鮮明に思い出されます。
といいますのも、藤野先生はその当時、60歳くらいだったと思うのですが、非常に若々しく、エネルギーに満ちあふれ、「これから、BOOCSダイエット、BOOCS理論を、日本中に、世界中に広めていくのだ!」という気概に満ちておられました。
BOOCS理論を実践すると、きっとこんなにエネルギーにあふれた人になるに違いないと感じたほどです。
講義を聞いていた私も、先生からエネルギーをもらい、その日は、意気揚々と帰宅したことを覚えています。
脳疲労を解消するBOOCS法
藤野先生は、糖尿病などの生活習慣病や、うつ病などは、さまざまなストレスにより引き起こされる脳疲労が原因ではないかと考えておられました。
そして、その原因である脳疲労の解消法としてBOOCS法を考案されたのです。
BOOCSとはBrain-Oriented Oneself Control Systemの略で、脳指向型の自己調整システムと訳されています。
簡単に言うと、ご自身の脳疲労に気づき、脳疲労を解消することで、ご自身のケアにつなげる方法です。
ですから、BOOCSはBOOCSダイエットにとどまらず、疾患予防にも繋がる方法論なのです。
BOOCS法の基本は次の三点です。
「たとえ健康に良いことでも、嫌であれば決してしない」
「たとえ健康に悪いことでも、好きでたまらないか止められないことは、とりあえずそのまま続ける。決して禁止しない」
「健康に良くて、しかも自分がとても好きなことを一つでもよいから始める」
なんだか聞いているだけで、わくわくする内容ではないでしょうか。
健康のためというと、多くの場合、我慢をしなくてはならなかったり、好きなことを禁止されたりしますよね。
21626人の日本人労働者を対象に、このBOOCS法を用いた追跡調査が行われています。
その結果、肥満度や中性脂肪が下がり、病気の発症を抑えることがわかり、さらなる追跡調査では全死亡率が半減したという報告がなされています。
認知症と脳疲労
さらに認知症においても、脳疲労が原因のひとつと考えられ、脳疲労を防ぐ物質を探し始めました。
そして、「アルツハイマー型認知症の脳では、プラズマローゲンが減少している」との報告に注目し、プラズマローゲンが認知症の予防、改善のカギとなることをつきとめたのです。
プラズマローゲンは、あらゆる動物のすべての組織にみられる物質で、特に脳神経細胞に多く含まれています。
脳細胞はストレスを受けると、酸化し、いずれは死滅してしまうのですが、プラズマローゲンはこのストレスによる酸化を食い止める働きをしています。
身代わりとなって自らが酸化されることによって、脳を守っているのです
このため、過度のストレスがかかると、プラズマローゲンは消費されてしまい、脳疲労を起こしやすくなります。
このような重要な働きをするプラズマローゲンですが、年齢とともに減少することがわかっています。
プラズマローゲンの三つの働き
脳の神経細胞の新生
プラズマローゲンを投与することで、脳の神経細胞が新しくできることがわかっています。
これは、脳疲労を起こした脳、老化した脳にだけおこることではありません。
健康な脳であっても、脳神経細胞の新生が認められています。
記憶・学習能力の向上
プラズマローゲンは記憶・学習能力を向上させます。
プラズマローゲンを与えたマウスでは、与えられなかったマウスと比較して、学習能力が向上するという結果が報告されています。
アミロイドβ蛋白の蓄積を抑制
アルツハイマー型認知症では、脳神経細胞にダメージを与えるアミロイドβ蛋白が蓄積しているのですが、プラズマローゲンはこのアミロイドβ蛋白の蓄積を抑制することがわかっています。
認知症患者だけでなく、家族や介護者からも喜ばれる
プラズマローゲンは、あらゆる動物のすべての組織にみられますが、なかでも、ホタテのプラズマローゲンは、脳の健康を保つDHAやEPAを豊富に含んでおり、特に医学的効果が高いことがわかりました。
アルツハイマー型認知症と診断された患者さんたちを対象に、ホタテのプラズマローゲンの臨床試験が行われました。
認知機能テスト“MMSE”の変化をみたところ、5割の患者さんで「顕著な改善」がみられ、悪化される患者さんは少なく、残りのほとんどは「現状維持」で、症状の悪化を食い止めたと評価されたのです。
プラズマローゲンは、記憶・学習を向上するだけではありません。
人間らしさや感情をコントロールする前頭前野にも変化が見られることが報告されています。
幻視やうつ状態が特徴のレビー小体型認知症の81歳の女性は、プラズマローゲンを摂取して2週間で幻視が消え、研究チームを驚かすような改善を見せました。
しかも、笑顔も見せるようになり、他者への気遣いも見られるまでに変化したのです。
認知症で無表情だった方が、プラズマローゲンを服用するようになってから、笑顔が見られるようになったという声もあります。
また、非常に攻撃的だった認知症の方が、介護者の方に「ありがとう」と言われ、介護者の方が感激して涙されたという話も聞いています。
プラズマローゲンは、認知症の方だけでなく、患者様をお世話されているご家族や介護者の方々に大変喜ばれているのです。
うつ、不安神経症からスポーツ選手まで
アルツハイマー型認知症に限らず、うつや不安症状も脳疲労の結果ではないかと考えられています。
うつに対してプラズマローゲンを用いている心療内科での使用経験によりますと、プラズマローゲン服用者は幸福感を感じやすくなるとの意見がみられます。
プラズマローゲンは病気の人だけでなく、健常者にも愛用されています。
スポーツ選手や演奏家などは、その大切な瞬間に集中し、能力を最大限に生かし、すべてを出しきらなくてはなりません。
そのような大切な場面では、脳の指令が瞬時に手足の神経や筋肉に伝わり、自分の思うように、手足や指、体を動かす必要があります。
プラズマローゲンは疲労した脳を早期に回復させ、脳の高次機能を高めることから、パフォーマンス向上を期待して、運動選手や演奏家の方達に用いられています。
これは、一般の方にとっても同様に重要なことではないでしょうか。
仕事や勉学での集中力を高め、趣味のピアノやテニスなどで自分の思うように弾く、動かすことができるなど、それぞれの能力向上に有用と感じている健常者の方々にも愛用されています。
まとめ
プラズマローゲンは、アルツハイマー型認知症の治療として使用が始まり、うつ病や不安、不眠など心療内科領域でも効果が期待されるようになりました。
健常者にとっても、脳疲労を防いで脳の健康を保ち、パフォーマンス向上を目指して使用される方が増えています。
プラズマローゲンについてもっとお知りになりたい方には、藤野武彦先生の著書「認知症はもう不治の病ではない」をお勧めしています。
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