「タンパク質をとったほうがいいって聞いたので、毎日プロテインをとっています」
診察で、このように話される方はとても多いです。
さらには、「健康のために、プロテインをとりはじめたのに、お腹を壊してしまい、どうしたらいいのかわからなくなりました」という声もよくお聞きします。
メンタル不調の方に、プロテインはおすすめできません。
プロテインをとると、大量のタンパク質がいっきに胃腸に入ってくることになります。
大量のタンパク質を一度に消化吸収するのは困難なため、未消化のプロテインができてしまい、これが腸管を傷つけ、さらに消化吸収が低下してしまうのです。
タンパク質を効果的に摂るには
タンパク質をとりたい方は、何をどのようにとるとよいのでしょう。
メンタル不調の方には、タンパク質をアミノ酸の形でとることをおすすめしています。
アミノ酸はタンパク質の最小単位ですので、タンパク質と比べてはるかに消化吸収しやすいのです。
「アミノ酸の形でとる」とは、具体的には、どのような食べ物を指しているのでしょう。
一番のおすすめは「お味噌汁」
一番のおすすめは、「煮干し、かつお節や、あごだしから取ったおだし」で作るお味噌汁です。
煮干しからとっただしには、お魚の良質なアミノ酸がたくさん含まれています。
さらに出汁にお味噌をとくことで、味噌のアミノ酸をも摂ることができます。
メンタル不調の方は、「煮干しからだしをとる」と聞いただけで疲れてしまうかもしれません。
安心してください。
そんなときは煮干し粉がパック詰めされたものを使うと便利です。
購入する際は、煮干し粉のみがパックされているものを購入しましょう。
その際は、塩や砂糖、アミノ酸、調味料などの不必要な材料が含まれていないかどうかを確認するのを忘れないでくださいね。
栄養価の高い「ボーンブロススープ」
骨付き肉を水から煮だした「ボーンブロススープ」もおすすめです。
ボーンブロススープとは、牛、豚、鶏などの骨付き肉を、水からじっくり煮込んだスープです。
水に、手羽先、スペアリブなどの骨付き肉をいれ、さらに、ネギ、生姜、にんにく、塩、酢を加えて加熱します。
沸騰する直前に弱火にしてアクをとり、蓋をして120分ほど煮込むと、とてもおいしいスープができあがります。
もちろん、玉ねぎ、人参などの野菜を入れてもいいですし、カレーにするとお子様も喜んで食べてくれます。
スープは冷蔵庫で保存することができ、夕食はもちろんのこと、時間のない日の朝食や、補食にも利用でき、ストックしておくととても便利です。
お味噌汁やボーンブロススープをおすすめする理由
お味噌汁やボーンブロススープを1日3回とるだけでも、十分な量のタンパク質をとることができます。
さらによいことに、おだしやスープには、たくさんのミネラルが含まれています。
ミネラルはエネルギーをつくる、神経伝達物質をつくるなど、すべての代謝に必要な栄養素ですが、吸収されにくく、現代人は不足がちなのです。
温かい汁物をとることで緊張がほぐれますので、副交感神経優位にさせてくれるところもいいですね。
朝、食欲のない方でも汁物であればとりやすく、朝食にもおすすめです。
容器に入れて持ち運びしやすいので「補食」に利用していただくこともできます。
煮干し粉の意外な使い方
煮干し粉はお出汁にするだけでなく、少量ご飯にかける、おひたしやお豆腐、サラダにかけるなどもおすすめです。
煮干し粉やかつお節の粉を少量ずつ、主食や副菜にふりかけることで、1日を通してかなりの量のアミノ酸を摂取することができます。
ポイントは、一度にたくさんとるのではなく、少しずつ何回にも分けてとることです。
「しらす」で気軽に魚の栄養をとる
「たんぱく質をアミノ酸の形でとるといいですよ」と伝えると、「肉や魚は食べないほうがいいのですか」という質問をいただくことがあります。
そんなことはありません。
ぜひ、召し上がってください。
メンタル不調の方は消化機能が低下していることが多いため、お肉を塊としてとるよりも、挽肉などの細かい肉を使った料理がおすすめです。
お魚は水銀などの汚染を考慮して、マグロ、カジキなどの大型魚をできるだけ避け、サンマ、イワシ、サバを選ぶとよいでしょう。
マイワシやカタクチイワシなどのイワシの稚魚である「しらす」は特におすすめです。
魚を1匹丸ごと食べることができ、気軽に魚の栄養をとることができます。
しらすの旬の時期は主に春と秋ですが、ほぼ1年を通して流通しているため、いつでも購入しやすい食品です。
豆腐にかけたり、大根おろしとあわせたり、卵黄とともにごはんにかけてもおいしいです。
体調のよくないときでも食べやすい、優秀な食べ物です。
ぜひ、毎日の食事に活用してみてください。
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