「泣いたり、怒ったりして、感情をだすことはよくないことです」
クリニックでは、このようにおっしゃる方を多く見てきました。
子どものころ、親から「泣くな」「怒るな」と言われてきたため、感情を出すことはいけないことだと思っておられるのです。
悲しみだけでなく、うれしいことすらわからなくなる
常に感情を感じないように抑えていると、自分の悲しみや苦しみを感じなくなってしまいます。
それだけではありません。
うれしいこと、楽しいことまでわからなくなってしまうのです。
自分が感じていることがわからなくなると、自分は「何が好きなのか」「何を選択したいのか」すらわからなくなり、自分の進むべき道も見えなくなってしまいます。
悲しみは体の中にたまっていく
さらにこわいことがあります。
辛く苦しい気持ちを感じないように抑えていると、その気持ちはからだの中に蓄積していきます。
そして、悲しみのコップの中にどんどんたまっていくのです。
すると、いつしか、コップからわぁーっとあふれ出て、それが、不安や抑うつとしてあらわれるのです。
自分の感情を否定しない
自分が今、感じている感情を否定しないで、「私は今、何々と感じているな」と認めてあげることがたいせつです。
もし抗議できない状況であったり、怒りを表に出せないときは、「自分は今、怒っているな」と自分の感情を確認する、それだけでもいいのです。
自分の感情は大切なメッセージです。
あなたが、何が好きで、何が嫌いなのかを示しています。
嫌なことを避け、好きなことを選ぶためにも、否定的な感情も必要なことを知っておきましょう。
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