腸の状態を良好な状態に回復させるには、「腸内細菌叢を整える」「消化を助ける」ほか、「傷ついた腸管壁をつくり替える」という3つの方法があります。
今回は、「消化を助ける」消化の良い食べ方を解説していきましょう。
リラックスして食べる
「食事はみんなで楽しく談笑しながら食べると消化がいい」
という話、みなさん一度は聞かれたことがあると思います。
これは、本当のことなんです。
「食事中、家族が喧嘩している」とか、「親に𠮟られながら食べる」といった環境では、胃や腸管の蠕動運動がおきないばかりか、胃酸や消化酵素の分泌も低下します。
したがって食べたものは消化されにくく、栄養素の吸収もできません。
そんな状況で食べるくらいなら、一人で安心して、機嫌よく食べたほうがまだましです。
リラックスして食べられるように環境を整えましょう。
よく噛んで、ゆっくり食べる
消化のために大切なのは、口内でよく噛むこと、そしてゆっくり食べることです。
咀嚼は食べ物を細かくするだけではありません。
よく噛むことで、消化酵素を含む唾液が分泌され、消化が進みます。
さらに胃に進むと、胃酸が分泌されてタンパク質を分解します。
赤血球の材料となる「鉄、ビタミンB12、葉酸」の吸収にも胃酸が必要です。
ストレスがかかると胃酸分泌は低下してしまいますので、タンパク質や鉄、葉酸、ビタミンB12の消化吸収が低下します。
これらは赤血球をつくるときや、セロトニンなどの神経伝達物質をつくる際に必須の栄養素です。
不足すると貧血になりますし、感情は不安定になります。
消化だけじゃない、胃酸の重要な働き
胃酸の働きは、消化だけではありません。
胃酸はその強い酸によって、からだに入ってきた細菌を殺菌する役目も担っています。
そのため、胃酸分泌が少ないと、からだにとって害のある細菌も容易にからだの中に入ってきてしまい、その結果、腸内によくない細菌が増え、腸内環境は乱れます。
するとビタミンやホルモンを産生する腸内細菌の働きに支障が生じ、さらに体調不良を引きおこすのです。
胃酸の働きを助ける食べ物
胃酸の働きを助けるため、食前に梅干しや、薄めたりんご酢をとっていただくとよいでしょう。
お水やお白湯にレモンを絞ったレモン水や白湯もおすすめです。
食事の際も、酢の物やサラダなど、お酢を使った料理から食べ始めることをお勧めしています。
純りんご酢を選ぶ
りんご酢は純りんご酢を選びましょう。
「純リンゴ酢」は、リンゴの果汁や果肉だけで醸造され、 リンゴ以外の余分な成分は含まれていないのに対し、「リンゴ酢」は、リンゴ果汁に醸造アルコールが加えられています。
タンパク質不足による消化酵素不足
消化酵素は「タンパク質を分解する酵素」「糖質を分解する酵素」「脂質を分解する酵素」に分けられ、それぞれ多くの種類の酵素が働いています。
消化酵素はタンパク質でできていますので、タンパク質が不足していると消化酵素を十分につくることができません。
「お肉は苦手」と感じている方は、タンパク質不足による消化酵素不足が原因かもしれません。
消化酵素が不十分なために消化吸収不良となり、「お肉やお魚を食べると、胃腸の調子が悪い」と感じ、それがやがて、お肉やお魚は「食べられない」「にがて」「好きじゃない」に変換されてしまうのです。
そうなると、タンパク質不足の方は、いつまでたっても肉や魚が食べられず、タンパク質不足から抜け出ることができなくなってしまいます。
そのような方は、消化を助ける「大根おろし」や、「すりおろした山芋」がおすすめです。
大根おろしには消化を助けるジアスターゼなど、多くの酵素が含まれています。
焼き魚や天ぷら、玉子焼きに大根おろしが添えられているのは、合わせて食べるとおいしいからだけではなく、消化を助けるためでもあるのです。
そのほか、食事をする前に消化酵素サプリメントを使用するのもよいでしょう。
- 関連キーワード: