混雑した電車のなかで感じる柔軟剤のにおい。
集合住宅のベランダに干した衣類から立ち上る化学物質のにおい。
これらは、人によっては不快なだけでなく、体調不良の原因にもなりえます。
このような、柔軟剤や消臭除菌スプレー、芳香剤、制汗剤、合成洗剤などの強い香りによる健康被害は「香害」と呼ばれています。
気づかないうちに、からだのなかに吸収している
消臭剤、芳香剤、柔軟剤などの製品には、多種多様な化学物質が含まれており、呼吸とともに意識されることなく吸入されています。
さらに、気づかないうちに、肌からも経皮吸収されているのです。
体のなかに入った化学物質は、肝臓が解毒している
体のなかに入った化学物質は、毒性の低い物質に変えて、体の外に排出する必要があります。
この働きは解毒と呼ばれ、主に肝臓が行っています。
必要以上に化学物質を摂取すると、肝臓の解毒作用が追い付かず、肝臓に大きな負担をかけることになってしまいます。
このため、肝臓の働きを低下させてしまいます。
肝臓の重要な働きとは
肝臓は、解毒のほかにも、代謝と呼ばれるはたらきを行っています。
代謝とは、栄養素を、からだが利用しやすい形に分解・合成する働きのことです。
肝臓の機能が低下すると、代謝も低下してしまいます。
このため、食事をしても、必要なエネルギーや物質に分解されにく、じゅうぶんな栄養素を得られなくなることから、体調不良につながるのです。
解毒するにはエネルギーが必要
解毒を行うには、エネルギーが必要です。
副腎疲労の方は、エネルギーが不足している状態でもありますから、解毒にエネルギーを消費してしまうと、さらにエネルギー不足が加速し、症状を悪化させてしまうのです。
また、肝臓の代謝が低下すれば、低血糖時に糖を放出する仕事もできなくなるため、さらにエネルギー不足におちいります。
副腎疲労改善のために、できるだけ、化学物質を含む製品を避けるようおすすめするのは、このような理由からです。
一方、化学物質に敏感なのは、解毒のためのエネルギーが不足しているためという見方もできます。
化学物質過敏症を改善するには、原因となる製品を用いないという方法のほかに、低血糖対策をとってエネルギーを十分に作り出す体にすることも重要になってきます。
歯磨き粉やシャンプーにも気を配ろう
生活のなかには、芳香剤、柔軟剤のほかにも気をつけたいものがたくさんあります。
たとえば歯磨き粉です。
歯磨き粉は直接、口内粘膜に付着し容易に体内に吸収されます。
石油由来原料、合成界面活性剤、鉱物油、合成ポリマー、水酸化アルミニウム、合成防腐剤、合成香料、合成着色料などの化学物質を含まない製品を選ぶとよいでしょう。
シャンプー、コンディショナーなども同様に、化学物質、芳香剤の含有に気をつけて選んでいただくとよいでしょう。
クリーニングから戻ってきた衣類はそのまま収納するのではなく、覆っているビニール袋をとり、化学物質を揮発させてからクローゼット、タンスにしまうようにしてください。
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