「CBDオイル」をご存知でしょうか。
クリニック千里の森でも、CBDオイルについてのお問い合わせをたくさんいただいています。
今回は、急速に注目が集まっているCBDオイルについて解説していきましょう。
CBDオイルは大麻草から作られる
CBDオイルは、大麻草の茎と種から抽出してつくられています。
大麻草は、100種類以上の薬効成分を持っています。
それらは総称してカンナビノイドと呼ばれており、CBDはカンナビノイドのひとつです。
大麻草は英語でcannabisカンナビスです。
カンナビスの成分ですから、カンナビノイドと呼ばれます。
ヒトもカンナビノイドをつくっている
実は人間を含め、すべての脊索動物は、からだのなかでこのカンナビノイドをつくっています。
この機能は「エンド・カンナビノイド・システム」と呼ばれ、睡眠、気分、痛み、食欲、消化機能、運動制御、免疫などをコントロールしています。
ところが、強いストレスや、加齢に伴う老化、栄養素の不足、重金属の蓄積などによって、エンド・カンナビノイド・システムの働きが低下すると、体内のコントロールがうまく働かなくなり、不調を感じるようになります。
そこで、大麻草由来のカンナビノイドを取り入れることで、エンド・カンナビノイド・システムを助け、その人本来のバランスを取り戻すのを助けるのです。
エンド・カンナビノイド・システムを助ける
外から大麻草由来のカンナビノイドを摂取する方法以外にも、食事や運動、ストレス軽減、体重コントロールに注意することで、エンド・カンナビノイド・システムをサポートすることができます。
ストレスはエンド・カンナビノイド・システムを消耗させますが、
「野菜、豆、玉ねぎ、キノコ類、ベリー類、種子類をとる」
「ヨガや瞑想、呼吸法などの運動を行う」
などによって、体内のエンド・カンナビノイドの量は増加します。
CBDの働き
CBDは、抗けいれん作用、抗炎症作用、抗不安作用、鎮痛作用のほか、癌の細胞死を誘導する作用を持ちます。
特に、抗てんかん作用はよく知られており、海外では難治性のてんかん治療薬として認可されています。
CBDオイルが用いられるのは
CBDオイルは主に、不眠、不安、うつ病の方によく用いられています。
そのほかにも癌、不眠症、さまざまな疼痛、関節炎、てんかん、認知症、自閉症スペクトラム、不安障害、統合失調症、炎症性腸疾患、多発性硬化症などの自己免疫疾患から、原因不明の症状まで多くの疾患に用いられています。
CBDオイルの摂取方法
不眠、不安など、症状がある場合には、CBDオイル0.25~0.5mg/kgを1日1~2回舌下します。
舌下は血管が多いため、すばやく吸収され数分で効果を発揮します。
CBDオイルの適切な量やタイミングは、人それぞれです。
最初は少量からはじめて少しずつ増量し、ご自分にとって一番よい量とタイミングを見つけていただくことをおすすめします。
CBDオイル使用時の注意点
CBDオイルの使いはじめは、リラックス効果のために眠くなる可能性があります。
車を運転する前には、使用しないようにしましょう。
妊娠、授乳中の女性や、乳児も服用することができますが、現段階で絶対安全とはいい切れませんので、注意して使用する必要があります。
薬との併用に注意
処方薬を服用されている方は、CBDオイルと同時にとらないよう注意してください。
CBDオイルと多くのお薬は、同じ代謝酵素CYP450によって代謝されます。
そのため、CBDオイルとお薬を一緒に取ると、薬の代謝が遅れてしまい血中濃度が上昇したり、薬の作用時間が伸びるなどして、薬の作用が強くあらわれたり、副作用がでやすいのです。
処方薬内服とは2時間以上、服用時間をずらすなど工夫が必要です。
安全性、副作用
WHO(世界保健機構)はCBDに関して依存性はなく、安全で、医療的に有効な成分と勧告しています。
CBDオイルの重大な副作用はほとんどなく、倦怠感、眠気、めまいなどがみられています。
眠くなる場合は、就寝前に服用するとよいでしょう。
大麻草成分にアレルギーを持つ場合は、すぐに使用を中止してください。
CBDオイルの選び方
CBDオイルを購入する際は、農薬や有害金属汚染のない、信頼性の高いメーカーを選ぶようにしてください。
また、CBDオイルの種類にも注目してみましょう。
CBDオイルには、CBDを1種類のみ含む「アイソレートCBDオイル」と、CBDだけではなく、それ以外の多くの成分を含む「ブロードスペクトラムCBDオイル」があります。
THC(テトラヒドロカンナビノール)は精神作用を持つことから、日本では法律で使用が規制されているため、「ブロードスペクトラムCBDオイル」は、THCを除去しています。
「アイソレートCBDオイル」を用いるよりも、多くの成分を含む「ブロードスペクトラムCBDオイル」の方が高い効果を得られます。
アントラージュ効果
「ブロードスペクトラムCBDオイル」に含まれる多くの成分とはなんでしょう。
大麻には100種類以上のカンナビノイドと、テルペンという成分が含まれています。
テルペンとは、植物の精油成分です。
揮発性で、植物や果物などの特徴ある香りを有し、リラックスをもたらします。
自然の中で日常的に遭遇する「よい香り」の多くは、このテルペンが生み出しています。
「ブロードスペクトラムCBDオイル」のテルペンには、レモンに含まれるリモネンや、ラベンダーに含まれるリナロール、黒コショウに含まれるβ‐カリオフィレンなどが含まれます。
大麻の薬効は、これらのさまざまなテルペノイドとカンナビノイドとが一体となってあらわれるものなのです。
そのため、CBD単体「アイソレートCBDオイル」よりも、多数の成分を一緒に用いる「ブロードスペクトラムCBDオイル」のほうがより高い効果を発揮します。
これはアントラージュ効果と呼ばれています。
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