夜間頻尿、早朝覚醒は夜間低血糖が原因かもしれません

結婚の翌月にパニック障害を発症した、30代女性のケースを紹介します。

パニック障害は薬で一時軽快したものの、5年も治療を続けていて、薬をやめることができません。

さらに、早朝覚醒と夜間頻尿が出現し、通院治療中であるにもかかわらず悪化しています。

薬以外の方法はないだろうかと相談に見えました。

パニック障害を発症した背景や、なかなか軽快しない原因について、カウンセリングや血液検査からひも解いていきます。

結婚1か月後から続くパニック発作


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絵理奈さんは30代の会社員の女性です。

5年前から、パニック障害で心療内科に通院しています。

薬を使うと症状は収まるのですが、ずっと薬を手放すことができません。

昨年から、早朝覚醒と夜間頻尿がひどくなり、相談に見えました。

 

はじまりは過呼吸発作


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「パニック障害の症状が起こったのは、5年前です。

結婚して新居に引っ越して、その1ヶ月後に会社で倒れたんです。

会社の人が救急車を呼んでくれて、救急隊の方に手当てしてもらったら、すぐによくなりました。

救急隊の方から過呼吸だって言われました。

 

その後、会社の人がとても心配してくれて、病院に行ったほうがいいと言ってくれたので、休みをもらって病院でいろいろ検査をしました。

でも、どこにも異常はないと言われました。

 

ところがその後も、また倒れるんじゃないかって、不安になってしまって。

過呼吸発作はその後も何度かありましたし、

さらに、夜眠れなくなったり、中途覚醒するようになったので、心療内科を受診したんです。

そこで、パニック障害だって言われました。

抗不安薬や睡眠薬などをいただいて、だいぶ楽になりました。

 

症状がおこったのは、引っ越しするなどして、環境が変わったからだと思っていました。

だから、一年もすれば環境に慣れるし、そうしたらすぐに治るだろうと思っていたんです。

でも、一年経っても、症状は変わらないし、薬もやめられません。

薬を減らそうとすると、また症状がでてしまうんです。

しかも、昨年からさらに症状が悪化しています。

こんなに何年も抗不安薬や睡眠薬を飲んでいるのはよくないと思ったのと、

薬以外の方法も試しながら、薬を減量できればと思いました」

コロナ感染拡大でさらに不安に


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昨年から悪化と言われたのは、コロナ感染拡大の時期に重なりますか?

 

「そうです。

コロナ感染が不安でたまりませんでした。

出勤するのも怖いし、会社で仕事するのも怖い。

かといって自宅だと安心かというと、そういうわけでもないんです。

 

そうこうしているうちに、地下鉄に乗るのが怖くて、会社に行けなくなりました。

家から一歩も外に出られなくなってしまったんです。

それで、会社に相談して、しばらく休職させてもらいました。

休職していた数ヶ月は、実家に戻っていました」

 

(絵理奈さんの話を聞いていて、なんだか変な感じがします。

ご主人の話はひとこともありませんでした。

ひとこともないどころか、登場もしていません。

「主人がとても心配して」とか、「主人はこんなふうに言ってくれています」などもない。

新婚1ヶ月で妻がパニック障害になったら、夫は心配しますよね?

もしかして、僕のせいかな?と思う人もいるかもしれません。

 

ところが、今の話の中で、一番心配してくれたのは、会社の人達です。

「病院に連れて行ってくれた」のは主人ではなく、会社の人達の勧めなんです。

会社の人達はいい人なんですが、

ご主人はいったいなにをしていたんでしょう?

とても違和感を感じます)

 

ご主人っていったいどんな人?


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ずっと話を聞いていて、とても気になったのですが、結婚してすぐに発症されていますよね。

でも、今の話の中に、ご主人の話がまったくでてこなかったんですよ。

夫はこう言っているとか、こうしてくれたとか、…なにかありましたか?

ご主人は、奥様が病気になられたことについて、何と言われていますか?

 

彼女はうつむき、しばらく沈黙したあと、苦笑いしながら話し始めました。

「実は、主人が問題で…。

 

夫も私も趣味で音楽活動をしています。

私はコロナ感染拡大があってからは、不安なので活動をやめるって言いました。

主人にも、感染の危険があるから活動をやめてほしいと言ったのですが、

『音楽活動はおれの生きがいだからやめられない』と言って、ずっと続けています。

それからも、何度かやめてほしいと話し合いをしたのですが、話が平行線というか、とにかく何も変わりませんでした。

主人にとって音楽は大切なものだから、これを無理にやめさせて、主人がうつになったりしたらかわいそうですし、あまり強く言えませんしね」

 

(いやいや、ご主人がうつになるかもって、

あなたは病気になって、すでに5年もたってますけど…)

 

「そのうち、バンド仲間の一人が発症して、感染が発覚したんです。

その方は大事にはいたらず回復されて、主人も感染していないことがわかって、安心したんですけど、夫はその後も変わらず音楽活動を続けています。

仲間が感染したので、さすがに活動をやめてくれるかなと思ったんですけどね…」

絵理奈さんは苦笑いです。

なんだか、絵理奈さんはご主人のお母さん役になっているように見えます。

 

バンド仲間が感染したと聞いて、不安になったのではありませんか?

 

「はい、そのときは、こわくて眠れなくなりました」

実家に戻って、症状悪化


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パニック障害がひどくなって会社を休職されたとき、実家に戻ったと言われました。

実家でゆっくりされて、症状はよくなりましたか?

 

「それが、実家に戻って一月ほどしたら、毎日のように過呼吸発作が出るようになったんです」

 

えー?実家に戻って、かえって症状が悪化したんでしょうか。

 

「そうなんです。

とても困って、心療内科に毎週通いました。

よくならないので、行くたびに薬が変わるんです。

そのうち、食べられなくなって、体重が5キロ減りました。」

 

実家に戻ってすぐに症状が悪化したという点は、とても気になります。

 

ご両親はどのような方ですか?

ご両親についてどのように感じていますか?

 

「両親は過干渉な人です。

子供のころ、『勉強しろ、勉強しろ』と言われて、とてもいやでした。

 

携帯を取り上げられて、勝手にメールをチェックされたり、

その当時つきあっていた彼氏に勝手に電話されたこともあります」

 

それはひどいですね。

親であっても子供のプライバシーは守らなければいけません。

こどものメールや手紙、日記をみるなどは、プライバシー侵害であって、モラルハラスメントにあたります。

そんなことをされたときは、どうしていたのですか?

 

「そんなことしないでって言うんですけど、

文句を言ってもあれやこれや言われて、言い負かされてしまいます。

『親なんだからメールをチェックするのは当たり前だ』とかなんとか…。

それで、家にいるのが嫌で、家に帰らないようにいろいろ用事を入れていました。

クラブ活動で忙しくしたり、友達や彼氏と出歩いたりして、家にはあまりいないようにしていました」

毒親はパニック障害の原因のひとつ


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そのようなご両親のもとでは、安心して生活することはできなかったのではないでしょうか。

24時間、365日、ずっと気を付けていないと、なにをされるかわかったものではありません。

 

一般にこどもは、母親と一緒にいるとき安心していられます。

母親との間に信頼や安心感があるからこそ、成長して母親から離れ、家の外の世界へと羽ばたくことができるのです。

けれども、そもそも母親が安心できない存在だと、この世の中に安心できる場所がありませんよね。

安心安全な場所がないのに、どうして、この世の中を安全な場所と感じることができるでしょう。

 

絵理奈さんは、こどものころからずっと、家の中に安心する場所をみつけることができませんでした。

ですから、自分のいるこの場所が安全だと、心から感じることができません。

そこに、コロナ感染など、なにか不安な要素やストレスがかかると、もう不安不安で、でたまらなくなってしまうのです。

パニック障害には、ご両親との関係性も関係しているのではないかと思います。

実家に戻ってすぐに、症状悪化するなど、体は正直に物語っているように感じます。

 

「パニック障害と両親とのことが関係しているなんて、まったく思ってもいませんでした。

でも、そういわれると確かにその通りです。

 

実は、父親も祖母も不安障害だったので、遺伝なのかと思っていました」

 

お父様も、お父様のお母様も、ともに、ご両親から過干渉を受けていたのかもしれないですね。

親からの過干渉は代々受け継がれてしまいます。

親から受けたことなので、親とはそういうものだと思って、子供にも同様のことをしてしまうため、代々受け継がれてしまうのです。

 

催眠療法を用いてインナーチャイルドに語りかける


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ちょっと目を閉じて、小さい時の絵理奈さんを想像してみてください。

小さい絵理奈さんはどんな様子ですか。

小さい絵理奈さんに、なんて声をかけてあげますか?

 

「小さいころ、よく、両親を選び間違えたって思っていました。

親を間違って選んでしまったねっていってあげたいです。

本当は、大丈夫だよって言ってあげたいんだけど、大丈夫じゃないし…、

なんて言ってあげたらいいのかなぁ」

 

自宅に戻ってからも、ほんの数分でいいので、小さい自分に話しかけてみてください。

毎日話しかけていると、小さい自分の様子が変わってきますよ。

するとね、今の大きな自分も変化するんです。

心のなかで語りかけてもいいし、日記などに書いてみてもいいと思います。

小さいころの自分に語り掛けることは、自分を癒すことにつながるんですね。

だから、パニック障害で困っている、今の自分を癒すことにもつながります。

夜間頻尿、早朝覚醒は夜間低血糖の症状


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「今年に入ってからは、夜間頻尿が起こるようになって、泌尿器科に通うようになりました。

夜間頻尿は今でも続いています。

それに、ときどき、めまいがすることもあるんです。

最近は、早朝覚醒するようになって、目が覚めると、もう寝られなくなってしまって。

朝起きても、すごく疲れています」

 

それはね、低血糖の症状かもしれませんよ。

持ってきていただいた血液検査結果をみると、中性脂肪が60と、とても低いです。

これは、日中、なんども低血糖をおこしていることを示しています。

 

夜間頻尿も、早朝覚醒も、めまいも低血糖のときみられる症状です。

寝ている間に低血糖になると、からだは大変だ!と危険信号をだします。

すると、アドレナリンがでて、交感神経優位となり、目が覚めてしまうのです。

目が覚めると、トイレに行きたいって思う。

すると、頻尿のために起きてしまった、と感じるかもしれません。

でもね、実は、「低血糖で目が覚める」というのがおおもとで、頻尿はその後についてくる副症状みたいなものかもしれないです。

 

低血糖だとめまいもおこります。

パニック発作やめまいなどの症状は、血糖値が最も低くなる夕方に、よくおこっていなかったでしょうか。

「たしかに、夕方に調子が悪くなります。

あー、そうなんだー、そうなんですね。

なんか、すごく納得できます。

夜間頻尿が夜間低血糖のためと聞いて、驚きました。

頻尿の治療をしなきゃって思いこんでいました」

低血糖対策の補食を上手にとる方法


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「心療内科の先生からも、血糖コントロールが必要だからって、夕方に間食をとるように言われていて、チーズやドライフルーツをとっています。

気を付けていたつもりなんですが、うまくいっていなかったんでしょうか?」

 

症状がさらにいろいろでていることを思うと、補食の取り方には、もう一工夫必要だったかもしれませんね。

わたしたちは、間食ではなく「補食」と呼んでいるんですよ。

三食をしっかりとったうえで、食事を補うという意味の「補食」です。

 

朝食を8時にとっていたら、10時くらいに、

昼食を12時にとったら、2時から4時くらいに補食を摂ります。

 

補食によいのは、複合の炭水化物に、少量のたんぱく質がおすすめです。

小さなおにぎりに鮭フレークとか、かつお節、卵そぼろや鶏そぼろがあるといいですね。

そのほか、蒸したサツマイモ、かぼちゃ、ゆで卵もおすすめです。

 

ボーンブロスもおすすめですよ。

このスープで体調変化を感じておられる方が多いので、ぜひ作ってみて下さい。

会社に持っていて、少量ずつ頻回にとるのもおすすめです。

ボーンブロスには良質なアミノ酸がたくさん含まれています。

たんぱく質ではなく、アミノ酸の形でとることができるので、消化吸収が低下している方には特におすすめです。

温かいので、ほっとしてこころもからだもゆるむところもいいですね。

いつも交感神経優位になって緊張されている人には、温かいスープは気持ちもリラックスできるので、お勧めなんです。

寝る前には、少量のはちみつをとるのもいいです。

ハーブティーにいれて飲むといいです。

昼間の血糖値が安定すると、夜間低血糖もなくなりますし、それにつれて、早朝覚醒や夜間頻尿もなくなってきます。

 

まとめ


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結婚して1か月後にパニック障害を発症した30代の女性のケースを紹介しました。

薬で症状はいったん軽快していたのですが、早朝覚醒と夜間頻尿が出現し、いっこうによくなる気配がありません。

また、5年も薬治療を続けていて、薬をやめることができないことにも悩んでおられました。

パニック障害を発症した背景には、結婚、転居などの環境の変化に加え、コロナ感染に対する強い不安がありました。

よくお話しを聞いてみると、強い不安の裏には、ご主人の言動や毒親の影響が見え隠れしています。

血液検査結果からは低血糖が認められました。

低血糖は、パニック障害や早朝覚醒、夜間頻尿などの原因にもなりえます。

低血糖対策として補食をとっていただくようにお伝えしました。

さらに、補食として何をどのタイミングで摂ったらよいのかなどについても説明しています。

 

 

はじめての方へ

当院についてもっと知りたい方は、
ぜひ「はじめてのかたへ」をご覧ください。
どんな思いで診療を行っているのか、
どんな方に合うクリニックなのかをお伝えしています。

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院長 野口 由美

医学博士(大阪大学)/放射線診断専門医/抗加齢医学会専門医
関西医科大学卒 関西医科大学内科、大阪大学放射線科、九州大学心療内科
日本メディカルホメオパシー学会認定医

大阪大学で医学博士を取得。
内科・心療内科・放射線科での臨床経験を重ねた後、クリニック千里の森を開設。
西洋医学に加え、分子整合栄養医学や伝統医学、補完代替医療を取り入れ、一人ひとりに最適な治療を行っている。

※ご本人の了解をいただき、掲載させていただいています。
趣旨をゆがめない程度に、年齢や性別などの背景を変えたり、
他の患者さんを組み合わせるなどして、実際の症例に変更を加えています。
また、理解しやすいよう、内容を単純にし、処方内容も一部に限定していることをご了承ください。

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