「職業としての小説家」に見る運動習慣

前回、第16回日本抗加齢医学会総会に参加した際、
「運動は老化を抑制する」という報告を聞いた話をしました。

その学会参加中、わたしは、村上春樹の「職業としての小説家」を読んでいました。

この本は、どこを読んでも心に残る文を見つけることができますが、
今回は、学会内容と合わせ読んで、大変心動かされた
「どこまでも個人的でフィジカルな営み」を紹介したいと思います。

村上春樹さんは、「長い歳月にわたって創作活動を続ける」には、持続力が必要であり、
持続力を身につけるには、基礎体力が必要だと言われています。

体力と思考力は互いに影響しあうものであり、ともにバランスよく維持するのが望ましいと、
次のように書かれています。

「体力が落ちてくればそれに従って、思考する能力も微妙に衰えを見せていきます。
志向の敏捷性、精神の柔軟性も失われてきます」

「フィジカルな力と、スピリチュアルな力はバランスよく両立させなくてはならない。
それぞれがお互いを有効に補助しあうような体勢に持っていかなくてはならない」

村上さんはランニングを習慣とし、マラソンやトライアスロンにも参加するようになり、
そうして作家としての能力は少しずつ高まったと感じておられるのだそうです。

さらに、
「自分の才能を少しでも高めていきたいと思うなら、意志をできるだけ強固なものにしておくこと、
同時に身体もできるだけ健康な状態に保つことは、あなたの生き方そのもののクオリティーを
総合的にバランスよく上に押し上げていくことにもつながってきます」
と語っています。

村上春樹さんだけでなく、作家さんだけでもなく、すべての人に当てはまることなのですね。

わたしは、この文章を読みながら、大変恐れ入ってしまいました。
わたしの場合はと言いますと、忙しくなるにつれ、運動する機会は次第に減り、
必要性を感じながらも、なかなか運動習慣を取り戻せない状況にいつも焦りを感じていました。

ましてや、「より良い仕事をなすために、運動は必要不可欠」など、考えたこともありません。

運動はただただ、楽しみのためにするものであったり、
病気にならないように、ある程度した方がいいものであったり、
その程度の位置においていたのです。

体力を向上させる、もしくは維持することは、
自身が何事かを成し遂げるために、当然必要なことだと言われると、本当にその通りです。

自分のやりたいことをやり遂げるために必要なことなら、
運動も進んで続けていかなくてはいけませんね。

学会会場で運動の必要性をひしひしと感じ、
村上春樹さんの本を読んで、深く反省し、
運動習慣を身につけようと、努力しているところです。

※村上春樹著 「職業としての小説家」 スイッチ・パブリッシング 2015年 p163-188 から文章を引用しています。