クリニック千里の森では、CBDオイルを取り扱っています。
CBDオイルは、
癌、てんかん、認知症、自閉症、うつ病、不安障害、炎症性腸疾患、疼痛、自己免疫疾患
などのさまざまな疾患に用いられ、
さらに原因不明の困った症状にも使用されています。
今回は、CBDオイルについて説明するとともに、
さまざまな疾患に効果を示す作用機序についても解説します。
CBDオイルとは
CBDオイルは、薬用植物である麻の茎と種から抽出され作られます。
大麻草には、カンナビノイドと呼ばれる生理活性物質が100種類以上認められ、
その中で最も有名な成分がTHC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)です。
THCは精神作用を持つことから日本では法律で規制され、使用することはできません。
そのため、日本では、THC以外のカンナビノイドが用いられています。
CBDは、
抗痙攣作用、抗炎症作用、抗不安作用、降圧作用のほか、癌の細胞死を誘導する作用
を持つことがわかっています。
効果
植物の成分であるカンナビノイドが、なぜ、ひとのさまざまな症状に効果があるのでしょう。
人間を含め、全ての脊椎動物はみな、内因性カンナビノイドを持っています。
内因性カンナビノイドは、体内でさまざまな機能を制御しており、
これをエンド・カンナビノイド・システム(ECS)といいます。
ECSは全ての脊椎動物が持つ生体の制御システムであり、
食欲、睡眠、性行動、疼痛、免疫、感情、運動機能、発達、老化、認知、記憶
などをコントロールしています。
強いストレスを受けたり、加齢に伴う老化によって、
ECSの働きは低下し、カンナビノイド欠乏状態に陥り、
さまざまな病気を引き起こします。
そこで、植物由来のカンナビノイドを用いて、内因性カンナビノイドの欠乏を補うのです。
ECSの機能低下が関与していると考えられる病態は、下記のようにさまざまです。
癌、不眠症、さまざまな疼痛、嘔吐、関節炎、てんかん、糖尿病、虚血性心疾患、認知症、自閉症スペクトラム、うつ病、不安障害、統合失調症、炎症性腸疾患、多発性硬化症などの自己免疫疾患
といった、よく知られた病気から、原因不明の症状まで、
多くの疾患にCBDオイルの利用が試みられています。
ブロードスペクトラムCBDオイル
日本で使用されているCBDオイルの大半は、CBDだけを含む、単成分のアイソレートです。
しかし、生薬は「多成分」であることに意味があります。
多くの成分が相乗効果をもたらし、さらに副作用の軽減にも働くのです。
効果からみて、全草成分(フルスペクトラム)が望ましいのですが、
現在の日本の法律では、花や葉からの抽出や、THCの残存は禁止され、フルスペクトラムの製品は使用できません。
アイソレートでは効果不十分、
フルスペクトラムでは法律的に使用不可能…、
ということから、ブロードスペクトラムのCBDオイルを用いています。
ブロードスペクトラムとは、花や葉からの抽出はなく、THCを含まないけれども、できるだけフルスペクトラムに近いヘンプオイルのことです。
クリニック千里の森で取り扱っているCBDオイルは、次にあげる7つの条件が整った製品です。
ブロードスペクトラム
服薬に支障がない範囲で高濃度
完全オーガニック
国際的な薬品の生産品質規範であるGMP(Good Manufacturing Practices)や食品製造の安全性基準であるHACCEPを取得
THC成分の検出などにより税関で止まることのない、万全の検査体制
継続可能な価格
これまでのCBDオイルは、医療関係者がほとんど関与しない形で流通していました。
そのため上記を全て満たす製品は非常に少なく、価格も全般的に高すぎる印象でした。
さらに安定供給にはほど遠く、大手の販売元ですら税関の検査が通らず、販売中止となるケースもあったのです。
服用方法
1回0.5mlを1日2回(起床時・就寝前)、
もしくは、
1日1回1ml程度を就寝前などに舌下に入れます。
付属のスポイトで正確に0.5ml、1mlを測ることができますので、そのまま舌下に滴下するか、スプーンなどを用います。
しばらくそのままにして少しずつ飲み込みます。
すると、いつのまにかなくなる感じです。
舌下は血管が多く、よく吸収されるため、数分で速やかな効果を得られます。
安全性
治療目的でCBDオイルを用いたとき、生命にかかわる重篤な有害事象はほとんど見られていません。
わずかに傾眠や吐き気などの神経、精神症状、消化器症状がみられています。
傾眠や、眠気がみられる場合は、就寝前の服用から始めるとよいでしょう。
大麻に対するアレルギーをお持ちの方もいらっしゃいます。
最初は少量から始めて、アレルギーがないかどうかを確認し、すこしずつ増量することをお勧めしています。
次回は、エンドカンナビノイドシステムについてさらに解説します。
参考文献:
カンナビノイドの科学 日本臨床カンナビノイド学会 築地書房
CBDのすべて アイリーン・コニェツニー ローレン・ウィルソン 晶文社
臨床CBDオイル研究会
※関連記事です。
エンドカンナビノイドシステムを高める4つの習慣
CBDオイルが用いられるさまざまな症状
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